一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

緯度0大作戦

私的評価★★★★★★★☆☆☆

緯度0大作戦  [東宝DVD名作セレクション]

 (1969日本/アメリカ)

 海底火山の噴火によって瀕死の重傷を負った3人の潜水調査員(田代博士(宝田明さん)・マッソン博士(岡田真澄さん)・ロートン記者(リチャード・ジャッケルさん))が、浮上できなくなった潜水球の中に取り残された。彼らは、地上の文明よりもはるかに進んだ技術水準で建造された謎の潜水艦アルファ号に救助され、一命を取り留める。アルファ号は、日付変更線と赤道が交わる“緯度0”の海底に創られた無国籍の秘密基地の所属であり、その秘密基地には、世界中の優れた研究者たちが、平和のための医学や科学の研究を進めるため、事故死や亡命を装って移籍していた。緯度0の医学によって助けられた3人の調査員たちは、アルファ号のマッケンジー艦長(ジョゼフ・コットンさん)とともに、彼の旧友で悪魔の人体実験を繰り返すマリク博士(シーザー・ロメロさん)との闘いに臨むことになるが…。

 冒頭のアルファ号と黒鮫号の海中チェイスから、なかなかハラハラドキドキの展開です。19世紀初めの1805年に進水したアルファ号が、近未来的な装備を備えた潜水艦であることを始め、“緯度0”という理想郷のような海底都市の設定、きっぱりと分かれた善と悪の対決の構図、人体実験の結果に生まれる悪魔のようなモンスターたちの登場、毒々しい島に巣くう悪の組織の秘密基地・・・冒険小説の要素がふんだんに詰まった映画です。さらに、ミニチュアと光学合成をメインにした特撮技術で描かれる“緯度0”の海底都市の様子には、1960年代ごろから繰り返し想像・創造された21世紀の未来都市を思い起こさせ、昭和オヤジが少年時代にワクワクしながら読んだ海野十三さんらのジュブナイルを思い出させてくれます。
 確かに、CG全盛の21世紀の映画から見れば、子ども騙しなチープさを感じるかもしれません。しかし、当時としては、ありったけの特撮技術を投じて制作された、日米合作映画です。しかも、特撮監督は、あの円谷英二さんです。全力で本気なのは、間違いありません。
 どんなに時代が進んでも、この、味わい深い日本の特撮映画というジャンルは、私的には永久に不滅なのです。

●監督:本多猪四郎 ●特撮監督:円谷英二 ●脚本:関沢新一/テッド・シャードマン