一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

はやぶさ/HAYABUSA

私的評価★★★★★★★★★☆

はやぶさ/HAYABUSA [Blu-ray]
はやぶさ/HAYABUSA デラックスBOX〔初回生産限定〕 [Blu-ray]

 (2011日本)

 博士を目指しながら論文を書き続ける水沢恵(竹内結子さん)のもとに、一本の電話がかかってくる。その声の主は宇宙科学研究所(現:JAXA宇宙航空研究開発機構)の的場(西田敏行さん)だった…。
 2010年6月13日。小惑星イトカワ〟調査を目的に、2003年5月に日本から打ち上げられた小惑星探査機〝はやぶさ〟が地球に帰還した。月以外の天体からサンプルを採取して持ち帰るというミッションは、NASAでさえ成し得なかった人類初の快挙だった。7年間、60億キロにも及ぶ旅は、絶体絶命のピンチの連続。大きなプレッシャーと、そして次々と降りかかるトラブルに、メンバーたちはどのように立ち向かっていったのか…。


 2003年5月9日、「地球から3億キロメートル離れた小惑星イトカワ〟のカケラを拾って地球に持ち帰る」というミッションを帯びて、内之浦 から打ち上げられた小惑星探査機〝はやぶさ〟が、さまざまな困難を乗り越えて2010年6月13日、満身創痍になりながら、ついに地球へ辿り着くという実話をベースに同時期に同じテーマの映画が3本製作されました。
 今さら感はありますが、その〝はやぶさ映画〟を連続でレビューしようと思います。
 3本目は、2011年10月1日に公開された20世紀フォックス版〝正統派再現ドラマ〟ともいえる〝はやぶさ/HAYABUSA〟です。

 一言で言えば「再現ドラマにコメディの要素を添えた映画」かな?
 〝はやぶさMUSES-C)〟に関わった主にJAXAの人物を万遍なく均等に描き出し、ミッション中に起こった出来事なども、小ネタも含めて忠実に再現した、たぶん、3作の中では一番現実のストーリーをなぞった再現ドラマになっているのではないか、と推察されます。もしそうなら、JAXAは相当なオタク集団のように見えますが、ダイジョウブですかw? きっとダイジョウブですよね?www

 主人公は…タイトルどおり〝はやぶさ君〟ですwww 水沢恵が描く「はやぶさ君の冒険日誌」の主人公〝はやぶさ君〟のセリフを使って、ミッション遂行中の〝MUSES-C〟の現状をしばしば水沢恵の声で語らせるので、あながち嘘ではありませんw 〝はやぶさ〟のストーリーが広く一般の人々にも受け入れられた背景には、幾多の苦労の末に地球に帰還した宇宙機を命ある〝はやぶさ君〟に見立てた、擬人化による人々のシンパシーの増幅があったと思います。本作は東映版とも松竹版とも違い、確かに〝はやぶさ君〟に多くのスポットを当てているのは、間違いありません。

 人間の主人公・竹内結子さん演じる水沢恵は、実在モデルのいない架空の登場人物なのだそうです。彼女のやや挙動不審とも思えるオーバーな言動を見ていると、金曜ナイトドラマケイゾク〟で中谷美紀さん演じた東大法学部主席卒で迷宮事件オタクの柴田純警部補を思い出しました。奇しくも同じ堤幸彦さんの監督作品ですねw 水沢恵の存在をどう感じるかで、この映画の評価は分かれそうですが、ボクはとても気に入りました。彼女が映画の最後で語る〝命のお話〟は、ますむらひろしさんのアタゴオル物語などでもしばしば語られるものと同じ根っ子の深イイお話です。そこに違和感がなければ、受け入れられるのではないでしょうか?
 今回見た3本の中では、もっとも感情移入し易かったです。〝はやぶさ君〟よくがんばった! ありがとう! みたいな?www

●監督:堤幸彦 ●脚本:白崎博史、井上潔 ●音楽:長谷部徹瀬川英史横山克 ●参考書籍:小野瀬直美/著、寺薗淳也/監修(「はやぶさ君の冒険日誌」/毎日新聞社刊) ●配給:20世紀フォックス映画 ●協力:JAXA宇宙航空研究開発機構