一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

あぶない刑事リターンズ

私的評価★★★★★★★☆☆☆

「あぶない刑事リターンズ」スペシャルプライス版 [Blu-ray]

 (1996日本)

 横浜港署捜査課の鷹山敏樹(舘ひろしさん)と大下勇次(柴田恭兵さん)の目の前で、高級クラブに仕掛けられた爆弾が炸裂する。新任の捜査課長・深町新三(小林稔侍さん)の指揮の下、捜査課の面々による捜査が始まるが、鷹山と大下は、命令に服従して勝手な行動を取らないよう課長にくぎを刺される。使用されたプラスティック爆弾は、電気信管に豆電球が使用されるというマニアックな特徴があり、昔なじみの爆弾作りのプロ・唐木保(倉田てつをさん)の仕業に違いないと踏んだ大下は、こっそりと単身署を抜け出し、唐木を逮捕すると、次に犯行グループがある銀行の頭取をまとめて誘拐しようとしていることを突き止める。大下は鷹山と合流し、頭取誘拐事件を阻止しようと奮闘するが、頭取たちと引き換えに10億円の身代金を強奪され、さらには町田透(仲村トオルさん)刑事といっしょに現場へ駆けつけた新米刑事の虎井祐輔(関口知宏さん)が拉致されてしまう。やがて、署にかかってきた電話で、一連の事件が謎の組織・ブレーメンによるものと判り、ブレーメンの柊誠(伊原剛志さん)は、虎井と唐木の交換を要求してきた。深町課長は県警本部に諮り、県警本部は犯人からの要求には応じられないと決めるが......。


 〝あぶない刑事〟劇場版、前作から7年ぶりの第4弾。

 7年経っても、代わり映えしない面々。透だけが少し進化したアピールをするが、むしろ虎井という後輩を得て、さらに劣化してるw
 今回の敵は、社会秩序を崩壊させ、新たな世界の創出を目論むカルト的テロ組織〝ブレーメン〟だが、このシリーズらしいと言っていいのか、やってることはまだそこまで殺伐としてないので、まぁお気楽に鑑賞できるレベルでしょうか?

 犯行グループが世界的な組織を形成するためのツールとして、インターネットが本作で登場します。
 1996年というと、前年にWindows95マイクロソフトからリリースされて、一般のコンシューマーがやっと気楽にネットに接続できるパソコンが登場したばかりの折に、さらにインターネットの活用を広く知らしめようと、ネット上の博覧会〝Internet 1996 World Exposition(略称IWE'96)〟が開催された年です。当時のご家庭からの接続は、モデムを介した電話回線で、28,800bpsかせいぜい51,200bpsの速度でした。同じ電話のメタル線を使ったDSL接続で1Mbps以上のブロードバンド接続ができるようになるのはまだまだ先(NTTがフレッツADSLを提供したのが1999年末のこと)。
 インターネットがご家庭に普及するには、まだ十分な性能のパソコンや通信回線網のインフラが整っていなかったころですが、横浜港署のパソコンで犯罪組織に関するサイトを閲覧しているシーンが登場するワケですから、時代を先取りしていたと言えるでしょうね。
 時代を先取りといえば、ゴーグルを付けて、VRの世界をのぞき見るシーンも出てきますし、何より後半クライマックスのシーンをはじめ、VFXを駆使したアクションシーンがずいぶん出てくるところなんか、当時としてはかなり先進的な取り組みをしてたんじゃないかな、と思います。しかも、20年以上前の技術とは言え、今見ても意外とVFXが画面になじんでいるのが驚きでした。

 ただ、最後の最後は、やっぱり〝あぶない刑事〟です。あまりにも荒唐無稽でバカバカしいオチに、今となっては苦笑いするしかありません。


●監督:村川透 ●脚本:柏原寛司大川俊道