一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

未来のミライ

私的評価★★★★★★★☆☆☆

「未来のミライ」スタンダード・エディション [Blu-ray]

 (2018日本)

ボクは未来に出会った。

とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(声:上白石萌歌さん)のもとに、生まれたばかりの妹がやってくる。両親の愛情を妹に奪われ、寂しさいっぱいのくんちゃん。そんな時、くんちゃんは家の庭で自分のことを〝お兄ちゃん〟と呼ぶ不思議な少女と出会う。彼女は未来からやってきた妹・ミライちゃん(声:黒木華さん)だった。くんちゃんはミライちゃんに導かれ、時をこえた家族の大きな旅に飛び込んでいく……。(WOWOWの番組内容から引用)


 家族かぁ……。
 ボクの幼年期も、くんちゃんだった。
 5歳下の弟が生まれて、両親の関心が弟にばかりいっているのを肌で感じ、いつも「お兄ちゃんだから」の一言で、我慢を強いられていると感じてた。
 しまいには、泣いてぐずって親の興味を引くという、最も子どもらしい浅はかな抵抗すら無駄と知り、おそらくとっても無表情で可愛げのないガキになってた。
 一人で留守番できるようになっても、「手がかからない子」と言われるだけで、寂しさを親からまどってもらえなかったように思う。
 そして……くんちゃんのように、空想の世界でひとり遊びするのが、唯一自尊心を保つ手段となる。
 幼年期、ボクもやっぱり、弟が好きくないのぉ~だったw

 だからと言って、この作品の家族観に不快感を覚える大人にはならなかった。
 子どもの育ち方は、いろいろだわ。
 くんちゃんのお父さんもお母さんも、試行錯誤しながら、ちゃんと子どもたちの方に向いてると思う。
 くんちゃんが、両親に愛情を注がれていないなんて、ちっとも思わない。
 むしろ、ボク自身も幼年期に、両親から深い愛情を注がれていたのかもしれない、と肯定的にとらえることができるような気がした。

 ただ、それが幼い子ども自身には、理解できない。
 だから、くんちゃんは、空想に逃避する。
 過去と未来を行き来しながら、くんちゃんは、脈々と続く家族の大きな流れを体験する。
 血のつながりを疎ましく思う人もいるのだろうが、否定しようがない宿命だ。
 ボクも疎ましく思ってた時代があったが、父と母の子である事実に目を瞑って生きられるほど、ボクは図々しくない。
 幼年期に自尊感情を削られ続けても、家族に失望まではしない。
 だから、この作品の幸せな家族を、素直に受け入れた。


 てな小理屈はさておき、普通に面白がってまったよ。


●監督・原作・脚本:細田守