一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ある日本の絵描き少年

私的評価★★★★★★★☆☆☆

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 (2018日本)

 幼い頃から絵を描くことが好きな少年・シンジは、自然と漫画家を目指すようになる。小学生になると、同じく絵が好きだが覆面レスラーばかり描く不思議な少年マサルと出会い、家族ぐるみで付き合うほどの親友になる。しかし学年があがると共に、環境も変わり二人は徐々に疎遠になっていく。その後もシンジは変わらず漫画家を目指し、美大に進学、賞に入選、アシスタントを経てやがて大きなチャンスをつかむが・・・

 子供が描く絵から大人が描く絵へ、シンジの絵の成長に合わせヴィジュアルを変化させながら、漫画家を目指す男の半生を語る。実験的アニメーション&モキュメンタリー作品。
(『ある日本の絵描き少年』 | 【公式】ねこにがし株式会社ホームページ【あらすじ・概要】より引用)

nekonigashi.com


 第40回ぴあフィルムフェスティバルコンペティション部門「PFFアワード2018」準グランプリ入選作ということのようです。

 20分と短い尺ながら、〝ある日本の絵描き少年〟の生い立ちから現在、将来への希望など、ぎっしりと内容が詰まっている印象でした。
 内容自体は、どうってことないんでしょうけど、漫画・アニメーション・実写をシームレスで組み合わせた表現手法が秀逸だと思いました。
 しかも、さまざまなタッチの画風が入り混じっていて、そのタッチの違いに意味があって、面白いなぁ、と。
 なんだか、画面を見ているだけで、すごく楽しい気分になってしまいました。

 主人公シンジが漫画家になる夢をあきらめたとき、帰省した地元で目にした幼なじみのマサルくんの絵に勇気をもらい、再び夢に向かって立ち上がるのですよ。このマサルくんが、恐らく知的障がいがあって、何でもかんでも、自分の母親ですら、プロレスラーのマスクを被った人物として絵に描いてしまうんですけど、その絵がすごくパンチが効いていて、なんだか凄まじく気分が高揚してしまうのですね。
 創作することのすばらしさを感じる、そんな作品でした。
 純粋に、面白かったです。


●監督・脚本:川尻将由