一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

いぬやしき

私的評価★★★★★★★★☆☆

いぬやしき スタンダード・エディションBlu-ray

 (2018日本)

 定年を間近に控える、冴えない初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎(木梨憲武さん)は、妻・万理江(濱田マリさん)と高校生の長女・麻理(三吉彩花さん)、中学生の長男・剛史(福崎那由他さん)の4人家族。会社の上司には仕事の失敗をたびたび叱責され次のリストラ対象の烙印を押され、妻や娘には頼りがいのない男として小馬鹿にされ、頑張ってやっと手に入れた新築の一戸建て住宅すら家族に喜ばれないでいた。さらに追い討ちをかけるように、壱郎は胃がんによる余命宣告を受けてしまうが、家族に打ち明けたとして悲しんでくれるかどうか不安で言い出せず、虚しい気持ちに襲われる。そんな中、壱郎は犬と散歩に出かけた夜の公園で、ベンチに腰掛け、無言でたたずむ高校生の獅子神皓(佐藤健さん)を見かける。しかし壱郎が声をかける間もなく、突然宇宙から落下してきた物体が目の前で激しく地面に激突し、2人は衝撃で吹き飛んでしまう。薄れゆく意識の中でかすかにうごめく影を見た壱郎だったが、意識を取り戻したとき、彼の肉体の一部は機械となり、未知のパワーが備わっていた。自分がもはや人間ではないことに気づいた壱郎は、さらに自分の境遇を嘆くが、自分の授かった力が他者の命を救うことができると知り、秘かに自分の存在意義を意識するようになる。ところが一方で、同じ衝突事故に遭遇して壱郎と同様の未知のパワーを手に入れた獅子神は、その力を殺戮のために使うようになってしまうのだった。獅子神の友人の安堂直行(本郷奏多さん)に彼の暴走を止めるよう頼まれた壱郎は、新宿の街を舞台に、獅子神との全面対決に臨んでいく。


 なんかね、内容を知った上で〝いぬやしき〟という間抜けなタイトルと、木梨さんが主演と聞いて、なんとなく敬遠してたんですよ。主人公の名前が犬屋敷だったんですねぇ。なんだかねぇ…^^;
 タイトルだけで判断しちゃいけないワケですよね。困ったことに、それだけ、面白かったんですよ。

 いや、いろいろと展開的に細部を端折ってる感は否めないんですが、それでも獅子神が殺戮に至る心の動きだとか、壱郎が人間でなくなった自分に対する葛藤や、もともとうまくいっていなかったけれど愛してやまない家族への思いだとかをきちんと描いていて、ストーリーはなかなかのドラマに仕上がってましたよ。
 クライマックスの新宿大空中戦なんか、VFXがすごくうまく仕上がっていて、アベンジャーズとかハリウッド映画的な出来栄えでかなり見応えありました。

 最後の落とし方も、なかなかステキな余韻を残して、良かったと思います。


※この作品の監督さんだったんですね。こちらも面白かったです。
vgaia.hatenadiary.org

●監督:佐藤信介 ●脚本:橋本裕志 ●原作:奥浩哉(コミック「いぬやしき」/講談社刊)