一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

笑う警官

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

笑う警官 [DVD]

 (2009日本)

 この国では警察が、正義を指名手配する。
 女性警官殺害の容疑で同僚警官が指名手配された。さらに異例の射殺命令までも。
 時を同じく、この事件に疑惑を抱いた所轄の警部補・佐伯(大森南朋さん)は信頼する仲間と共に秘密裏に捜査を開始。
 捜査が進むにつれ浮かび上がる、警察内部の闇。事件解決までに残された時間はわずか15時間。
 警官VS警察組織、一夜限りの攻防戦が幕を明ける―。
 (DVDパッケージのSTORYから引用)


 北海道警察の裏金疑惑がマスコミに匿名で通報され、北海道議会が百条委員会を設置して徹底調査を行うとテレビで報じられた。
 警察内部から誰が召喚されたのか?
 一方で、札幌市内のマンションの一室で、道警本部の生活安全部の婦警が殺害され、管理人の通報を受けた所轄署員が駆けつけて間もなく、道警本部の捜査一課が現場を封鎖し、所轄署員を締め出すと、2時間後には婦警の同僚の津久井巡査部長(宮迫博之さん)が指名手配される。さらに、道警本部の石岡刑事部長(鹿賀丈史さん)からは、津久井が抵抗する素振りを見せたら即射殺せよとの命令が出され、SITまで出動する。
 道警本部の異常な速さでの対応を不審に感じた所轄の佐伯警部補ら6人の大通署員たちは、津久井が百条委員会で証言するため召喚されていたことを知り、道警本部が組織ぐるみで津久井を抹殺しようとしているとにらむ。
 百条委員会が開かれるまで15時間で、婦警殺しの真犯人を挙げ、津久井の射殺命令を解除させ、佐伯らは津久井を百条委員会に送り込めるか?


 まず、警察組織が犯罪グループなので、誰かが裏切って組織に寝返る可能性を排除できないというピリピリと緊迫した状況が作り出されます。しばらくは、その緊迫状況にドキドキしながら観進めるんですが、途中で何か捜査の進み具合がお気楽に転がってる気がして、実際やっぱり『裏にはさらに裏がある』みたいな展開に。そこから急に、『何か面白くないことない?』みたいに思い始め、実にスッキリしないまま終幕を迎えます。
 実社会の事件のように、何かスパッと解決しない、もやもやが残ったまま終わるところに、観終わった後の何とも言えない徒労感を覚えずにはいられませんでした。
 しかも、エンドクレジット前のバーでの演奏シーンとグラス片手に聞き入る面々の不思議な取り合わせは、何を意味したものか?
 トドメは読みづらいフォントを使った英字のクレジットロール。全編に流れるジャズのイラつくほど騒々しい押し出しといい、監督の角川春樹さんの『どや、大人カッコいいだろ?』みたいな押し付けがましいナルシシズムがハナについてきて、何かムカつきました。
 
 たぶん、原作は面白いに違いないと思うんですよ。
 なんか、微妙にうまくない、こなれてない、整理されてない、そんなカンジは脚本のせい? それとも演出のせい?
 うん、惜しいと思う。崔洋一さんならもっとうまく作ると思ってしまった。


※ボクの好きな崔洋一監督の作品
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●製作総指揮・監督:角川春樹 ●脚本:角川春樹、橋本匡弘 ●音楽:大島ミチル ●原作:佐々木譲(小説『笑う警官』/ハルキ文庫刊)