一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

シン・ゴジラ

私的評価★★★★★★★★★☆

シン・ゴジラ Blu-ray特別版4K Ultra HD Blu-ray同梱4枚組

 (2016日本)

現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ

 東京湾で大量の水蒸気が噴出し、東京湾アクアラインでトンネル崩落事故が発生する。政府は、原因を海底火山の発生等と見て、関係省庁の官僚と閣僚を招集し、緊急対策会議を開いた。内閣官房副長官矢口蘭堂長谷川博己さん)は、ネットに流れる目撃情報や動画などから、正体不明の巨大生物の存在を訴えるが、会議の面々はまったく取り合わない。しかし、ほどなくテレビで巨大生物の尻尾が報道されると、会議の面々は動揺し、混乱に陥る。専門家と呼ばれる御用学者の意見を次々と覆すように、巨大生物は第2形態・第3形態へと予測不能なまでに急激な変態を繰り返しながら上陸し、東京の街を破壊し始める。ついに自衛隊が出撃することとなり迎撃体制を整えた矢先、巨大生物は急に動きを止め、第2形態に戻ると、そのまま東京湾へと姿を消してしまう。政府は海上自衛隊に巨大生物の追跡を命じる一方、矢口を事務局長とした〝巨大不明生物特設災害対策本部巨災対)〟を設置し、巨大生物の再襲来に備える。一方、米国が大統領特使のカヨコ・アン・パタースン石原さとみさん)を極秘裏に派遣し、巨大生物が〝ゴジラGodzilla)〟 と呼ばれる生物であることを知らせ、その研究をしていた牧という行方不明の学者が残した、謎の暗号化資料を日本側に提供した。そして最初の上陸から4日後。第4形態とも呼ばれるほどに変化を遂げ、体も倍くらいの大きさになったゴジラが、鎌倉市稲村ガ崎から再上陸し、東京を目指して侵攻を始める。自衛隊の兵器はことごとく通用せず、ついには米軍までも出撃するが、想像を超えたゴジラの破壊攻撃を受け、攻撃部隊は全滅する。首都を地獄の業火で焼き尽くしたゴジラに対し、米軍と国連の多国籍軍が、熱核兵器によるゴジラ消滅作戦実行の要求を日本政府に突きつけるが、それは行くも地獄、戻るも地獄の究極の選択であった。作戦実行まで15日という猶予の中、巨災対の面々が対ゴジラ戦のために〝ヤシオリ作戦〟を推し進めるが、準備の時間はあまりにも少なかった。

shin-godzilla.jp


 WOWOWで放送してたらしいんで、思いついて4K Ultra-HD Blu-rayを鑑賞したんですが、レビュー書いてなかったんですね。珍しく、劇場に2回も観に行ったのに。しかも、通常版を見ずに、MX4D版とIMAX版を狙って観に行くというマニアックな鑑賞だったのにですよ。

 本作、一言で言えば、〝ヲタクの宝庫〟ですよね、たぶん。
 いろんなジャンルで、一般人が日ごろ興味を抱かない分野をマシンガンのように並べ立てて、とりあえず、分からないなりに〝ふ~ん〟て分かったふりして観進めるうちに、なんか知らんけど、作品の世界観に取り込まれてしまってるカンジ。
 ちなみに、恐ろしいことに、3年前に劇場で本作を鑑賞した時点で、ボクはエヴァンゲリオンを通しで観たことが一度もありませんでした。断片的にはテレ東系の放映で深夜に観てるんですが、そのときは何のこっちゃ分からんアニメ、でしかなかったのでした。
 なので、どこまでエヴァとのコラボがあったのか、まったく知りませんでしたし、後になってテレビの再放送などを通しで観たときには、BGMの使いまわしだとか、極太明朝体のキャプションの挿入だとか、けっこうな衝撃を受けたモンです。


 あだしごとはさておき。

 一部には、ゴジラ映画じゃなくて、災害対策映画だ、みたいな揶揄もあるようですが、そう言われても、どこまで国家や自治体の対応が現実的なのか、正直なところ分かりませんから、やはりすべてフィクションだと思って素直に楽しんだ方がイイんじゃないかと思ってます。
 CGになったけれど、この時点の技術でも、ゴジラの登場シーンはいずれも衝撃的ですし、再上陸後の破壊行動に至っては、たぶん歴代のどのゴジラ映画よりも、非情で、おぞましくて、禍々しい映像だったと思います。
 やっぱり、怪獣映画でしょ、って思います。
 一方で、ヲタクっぽい官僚らが集まった〝巨災対〟の中のやり取り、かなり面白かったですよね。
 市川実日子さんと高橋一生さんの絡み、サイコーです。
 なので、怪獣映画としても面白かったし、人間ドラマの部分も面白かったし、たぶん、その両方の部分の時間的・量的なバランスがちょうど良いと感じられる映画だったんだと思います。

 ただ、ゴジラがもたらした災害は、昨今の台風や大震災による災害を思わずにはいられません。
 矢口らのように、本気で災害に立ち向かう政治家や官僚、研究者がどれほどいるのか? あるいは、本気で国家存亡の危機と言えるほどの災害時には、日本の底力が発揮されるのか?
 そんなことをぼんやりと考えつつ、劇場で〝ヤシオリ作戦〟の行方をハラハラしながら見守っていた3年前のことを思い出しました。


●監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)、尾上克郎(准監督) ●脚本・編集:庵野秀明 ●音楽:鷺巣詩郎伊福部昭