一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

フィッシュストーリー

私的評価★★★★★★★★☆☆

フィッシュストーリー [DVD]

 (2009日本)

きっと、つながる――
発売当事だれにも聴かれなかった曲が、めぐりめぐって地球滅亡の危機を救う!!


1975年
 早すぎたパンクバンド「逆鱗」は世間に理解されないまま解散へ向かおうとしていた。彼らは最後のレコーディングで「FISH STORY」という曲を演奏する…。

1982年
 気の弱い大学生は「FISH STORY」の間奏部分に”女性の悲鳴が聞こえる”という噂を聞く。さらに彼は合コンにきていた女の子から「いつか世界を救う」と予言される…。

2009年
 修学旅行中に眠り込んでしまいフェリーに取り残された女子高生は「正義の味方になりたかった」コックと出会う。その直後、二人はシージャックに巻き込まれる…。

2012年
 物語の始まりと終わり。地球に巨大彗星が衝突するまであとわずか。静まり返った街中で、営業中のレコード店では店長と二人の客が「FISH STORY」に耳を傾けるが…。
(DVDパッケージから引用)


 またしても伊坂幸太郎さんの原作ですが、これは面白い趣向の映画ですね。

 『風が吹いたら桶屋が儲かる』的な、あるいは『わらしべ長者』的な、正確に言うと1952年の「フィッシュストーリー」という翻訳本の出版に遡り、1975年の無名パンクバンド逆鱗による「FISH STORY」という楽曲がリリースされたことに端を発して、世にも奇妙なご縁が次から次へと連鎖してゆき、誰も気づいていなかったけれど、その楽曲が導いたほんの些細なご縁のおかげで世界が救われるという、壮大な物語。
 冷静に考えたら、たいしたこと無いお話なんだけど、各時代のエピソードを非常にうまくつなぎ合わせて見せてくれていて、脚本・演出のうまさを感じました。

 各時代、それぞれ短いエピソードではありますが、伊藤淳史さん、高良健吾さん、渋川清彦さん、江口のりこさん、濱田岳さん、高橋真唯さん、多部実華子さん、森山未來さん、大森南朋さん、石丸謙二郎さんら、何気に豪華な俳優さんたちが出演なさっています。眉毛の無い高良さんの歌声がすごくカッコよかったです。濱田岳さんのいじましいほどに気弱な男っぷりは鉄板でしたw 森山未來さんのダンサーとして鍛えた、しなやかなアクションが驚嘆モノでした。

 そして、本作のイチバンの白眉は早世のパンクバンド〝逆鱗〟による〝FISH STORY〟のパフォーマンスでしょう。メッチャかっこよかったし、メッチャいい曲です。大好きな斉藤和義さんのプロデュースということで、この楽曲にがっつりハートを鷲掴みにされました。この曲を聴くだけでも、本作を観る価値があると言っても過言ではありません。

 新年一発目から、ノリノリ(死語www)でした。


中村義洋監督の作品。
vgaia.hatenadiary.org
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●監督:中村義洋 ●脚本:林民夫 ●原作:伊坂幸太郎(小説『フィッシュストーリー』/新潮社刊所収) ●音楽プロデュース:斉藤和義