一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

鴨川ホルモー

私的評価★★★★★★★★★★

鴨川ホルモー [DVD]

 (2009日本)

京都を揺るがす怒涛の祭 その名も”ホルモー”!!
空前絶後の青春エンターテインメント!!

 京都大学に入学した安倍(山田孝之さん)は、「京都大学青竜会」という妖しいサークルの新歓コンパで美しい鼻を持つ早良(芦名星さん)に一目惚れし、うっかり入会してしまう。そこには、大木凡人そっくりの冴えない女子・楠木(栗山千明さん)に日本オタクの帰国子女・高村(濱田岳さん)、俺様オーラ全開なイケメン・芦屋(石田卓也さん)など一風変わった奴らがいた。ただのレジャーサークルと思われていた青竜会だったが、実は”オニ”と呼ばれる式神を操り戦わせる謎のバトル”ホルモー”を行うサークルだった! ”オニ”を操るオニ語と指令ポーズを覚えるなど、完全に”ホルモー”に巻き込まれていく安倍たち。そんな中、天敵・芦屋が早良と付き合っていることを知った安倍は、封じ手「十七条ホルモー」を使って芦屋に決戦を挑むのだが―。
(DVDのパッケージから引用)


 荒川良々さんが出演している時点で、コメディ要素たっぷりな作品であることは間違いありませんが、吉田神社での代替りの儀を境に”オニ”=式神のCGが登場すると、一気に不思議な世界に取り込まれていきます。

 過去と現在を美しく調和させた京都の街並みの魅力的な映像を適宜挿し込みながら、もう『昭和か!』て叫びたくなるような雑然としたサークル棟やアパート、大学の寮の雰囲気が、サイコーにクール^^;
 もう、物語の舞台だけで、すでに好きだなって思わせてくれます。

 そして、出演者のみなさんが、演技の上手い方たちばかりで、このふざけた”オニ語”と指令ポーズを大真面目に演じてサマになってるのが、非常にすばらしい!

 実は栗山千明さん、けっこうスキなんです。
 目力がすこぶる強くて、クールな役どころをさせると、何か憑依してるんじゃないかと思えるほどに背筋がゾッとして、もう怖くて近寄りがたいカンジの演技ができちゃう女優さんなんですが、実はコメディエンヌとしても一流だと思うんですよね。
 演じる役どころで好き嫌いはあっても、多才で多彩な女優さんだと思います。


 本来は語り手の山田孝之さんの安倍明が主演なんですけど、ヒロイン役の栗山さんが、圧倒的な存在感を示しながらも、まったくもって浮いた感じなく馴染んでいて、すばらしい演技を披露しています。

 最初の新歓コンパで安倍を見つめる怪しい目つきで、まず先制パンチを食らいます。
 バタ臭いもっちゃりしたオカッパ頭に、今どきどこで手に入れた?みたいな黒縁のメガネが何か気にかかって仕方ないマジメなリケ女。
 『安倍!』と威勢よく呼び捨てにする男勝りな口調も、不思議と魅力的に映ります。
 引きこもって部屋から出てこない安倍に喝を入れるようにドアを一発ガツンと蹴飛ばし、そのままノブに大量の栗アンパンの入ったレジ袋を引っ掛け、黙って帰るところもステキ。
 さらに、姿勢よく一所懸命に自転車こぐスタイルにキュンキュンきてしまいます。

 トドメが早良の恋の駆け引きに利用された安倍が、芦屋に殴られたあとにやって来て、落ち込んでイジケてる安倍を引っ叩く一連のやりとり。
 この短いシーンの栗山さんの演技、セリフ回し、表情で、一気に持ってかれました。
 自転車こぎながら捨てゼリフのように叫ぶ『バカヤロー! ケーキ買ってきたんだぞ!』に、もう、胸がキュンキュンときめいて、マジで楠木に恋しちゃいました^^;
 たまらん!


 そして、最後の『十七条ホルモー』の戦闘でも、イチバンの見どころは楠木の戦闘参加でした。
 そこから戦いは一気に京都市中を駆け巡る場外乱闘へと発展し、一気にクライマックスへと怒涛のごとくなだれ込みます。
 少なくなった”オニ”を引き連れて逃げる安倍と、追いつめた芦屋の一騎打ちは、数でも戦闘力でも圧倒的に安倍が不利な状況。
 一気に叩かれて全滅するかと思われた矢先、楠木が思いも寄らぬ形で登場し、呆気に取られてしまいます。
 いやぁ~、胸の空く思い。しかし、結末はさらに意外な展開に……。


 うん。どこを切っても言うことなしの極上エンターテインメント作品。
 ストーリーも、演出も、出演者も、演技も、とにかくサイコーにすばらしい青春映画の金字塔(って言い過ぎ?^^;)。
 どっぷりとはまり込んで、観てしまいましたね。

 ブルーレイ化してくれないかなぁ。


山田孝之さん、栗山千明さん共演の作品。他に鈴木杏さん、松本まりかさん、勝地涼さん、山崎育三郎さんら、今思うと凄いメンバーが中学生を演じている。

六番目の小夜子 (新価格) [DVD]

六番目の小夜子 (新価格) [DVD]

  • 発売日: 2019/02/22
  • メディア: DVD
栗山千明さん、石田卓也さん共演の作品。
vgaia.hatenadiary.org
※吉田代替りの儀で歌い踊られる『レナウン娘』が出てくる映画。チアの女子学生が替え歌で踊っている。
vgaia.hatenadiary.org
京都大学と思しき大学界隈が舞台のアニメ映画。
vgaia.hatenadiary.org
※本木克英さんの監督作品。本木さんの作品は、ボクの好みに合うようです。
vgaia.hatenadiary.org



●監督:本木克英 ●脚本:経塚丸雄 ●原作:万城目学(小説『鴨川ホルモー』/産業編集センター刊)