一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

mellow

私的評価★★★★★★★★★☆

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映画『mellow』公式サイトより引用

 (2020日本)

その想い、この花とまれ。

街で一番オシャレな花屋と、廃業寸前のラーメン屋を舞台に巻き起こる恋愛群像エンターテイメント


 オシャレな花屋「mellow」を営む夏目誠一(田中圭さん)。独身、彼女無し。好きな花の仕事をして、穏やかに暮らしている。姪っ子のさほ(白鳥玉季さん)は、転校後、小学校に行けない日がたまにある。そんな時、姉は夏目のところにさほを預けにやってくる。
 さほを連れていくこともある近所のラーメン屋。代替わりして若い女主・木帆(岡崎紗絵さん)が営んでいる。亡くなった木帆の父(小市慢太郎さん)の仏壇に花を届けるのも夏目の仕事だ。
 常連客には近くの美容室の娘、中学生の宏美(志田彩良さん)もいる。彼女はひそかに夏目にあこがれている。
 店には様々な客がいて、丁寧に花の仕事を続ける夏目だが、ある日、常連客の人妻、麻里子(ともさかりえさん)に恋心を打ち明けられる。しかも、その場には彼女の夫も同席していた…。
 様々な人の恋模様に巻き込まれていく夏目だが、彼自身の想いは……。
(映画『mellow』公式サイト「ストーリー」より引用)

mellow-movie.com



「ありがとう。でも、ごめんなさい。」

 胃の中身がせり出してきそうなほどの、ガチガチの緊張から解放される瞬間、胸の中に広がる、ほろ苦い思いは、このコトバとともに訪れる。
 思いつめた果ての告白を、後悔したことはないけれど、年老いてしまった今となっては、そのとき胸に去来した痛みを、もう思い出すことなんてない。

 あのころの『好き』は、たぶん、熱しすぎて、水蒸気のように大気の中に吸い込まれていって、どこかへ消えてしまったのだろう。
 一方的に、胸を焦がしたアツい思いだったけれど、独りよがりに過ぎなかったかもしれない。
 だけれども、そのときは、自分の気持ちしか無かった。
 相手の気持ちを分かろうなんて、できなかった。
 だから、知らないところでボクに向けられていた『好き』には、気づけなかった。
 彼女の『好き』は、やはりどこかへ消えてしまったのだろうか。



 誰の心の中にも仕舞われている、そんな、純粋で不器用な『好き』の現在進行形が、そこかしこにあふれている映画。


 ドラマティックな展開はないけれど、なんてことない毎日の中にある、『好き』の気持ちに、人の優しさ、温かさをじんわりと感じる。
 まだ、誰かを好きになることも、できるかもしれない。
 実際、そんなことはないかもしれないけれど、そんな風にココロにこびりついていた長年のサビをスッキリ洗い落としてくれるような、フレッシュな感覚を取り戻せた気がする。

 手紙って、書いた人の筆跡とか、選ばれた紙の風合いとか、書いた人の気持ちを、より一層強く感じることができて、イイなと思った。

 最後のシーンも、さり気なく、押し付けがましくない優しさにあふれていて、とってもさわやかだ。

 朝起きるの辛かったけど、イイ作品に出会えて、ハッピーな一日の始まりになった。




 あだしごとではありますが……。

 最初に登場するのが松木エレナさん演じるセーラー服姿の女子。
 表情やたたずまいを見て、絶対、高校生だと思った。
 で、次の場面で志田彩良さんが、私服姿で登場して「今日は、試験で3限から」って聞こえてきて、あー、大学生ね、て思った。
 そうしたら、学校の屋上で、二人がセーラー服姿で再登場。ん? 大学生じゃなかったんか?
 進学が「ナントカ高」って聞こえてきて、へ? 大学じゃなくて、高校進学? 女子中学生じゃん。
 いや~、ムリムリムリ。中学生に見るのは無理だわ。がんばっても高校生でしょ。

 調べたら、志田彩良さんが1999年7月生まれの20歳、松木エレナさんが 2003年11月生まれの16歳。
 うん。中学生って、もっと未発達で華奢なイメージ。
 勝手な思い込みで、申し訳ございません^^;
 でも、二人が演じてくれた『好き』は、思春期ならではの思いかなぁ、と思えたので、良かった。


※今泉監督の作品、ついこの間、観たばっかだった^^
vgaia.hatenadiary.org




●監督・脚本:今泉力哉 ●音楽:ゲイリー芦屋