青くて痛くて脆い
私的評価★★★★★★★★★☆
(2020日本)
この青春には、嘘がある。
人付き合いが苦手で、常に人と距離をとろうとする大学生・田端楓(吉沢 亮さん)と
空気の読めない発言ばかりで周囲から浮きまくっている秋好寿乃(杉咲 花さん)。
ひとりぼっち同士の2人は磁石のように惹かれ合い秘密結社サークル【モアイ】を作る。
モアイは「世界を変える」という大それた目標を掲げボランティアやフリースクールなどの慈善活動をしていた。
周りからは理想論と馬鹿にされながらも、モアイは楓と秋好にとっての“大切な居場所”となっていた。
しかし
秋好は“この世界”から、いなくなってしまった…。
秋好の存在亡き後
モアイは社会人とのコネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系の就活サークルに成り下がってしまう。
変わり果てた世界。
取り残されてしまった楓の怒り、憎しみ、すべての歪んだ感情が暴走していく……。
アイツらをぶっ潰す。秋好を奪ったモアイをぶっ壊す。どんな手を使ってでも……。
楓は、秋好が叶えたかった夢を取り戻すために親友や後輩と手を組み【モアイ奪還計画】を企む。
青春最後の革命が、いま始まる— 。
(映画『青くて痛くて脆い』公式サイト「STORY」より引用)
ボクは、大人になった今でも、他人との軋轢を避けるように自分自身を偽り、本音をはぐらかしながら自分の中の青臭くて脆い殻に閉じこもっていたい、そんな人生を送ってきたと思う。
楓のやらかしたことについて、ボクは、残念過ぎるくらいにシンパシーを感じてしまった。
タイトルの一字一句が、この映画を見進めるうちに、グサグサと胸に刺さって、心がささくれ立ってくるのを禁じえなかった。
ボクも、3人以上のメンバーがいる場所では、自然とはぐれてしまってる。
自分自身の性分だから。
そう、決めつけて、自分を変えようとは、して来なかった。
それでも。
たぶん。
緩やかな関係でも、誰かと、どこかで、関わっていたいと、心の中で願ってる。
ボクは、壊してしまった関係性を、修復するのを諦めて、捨て去ってきたけれど。
やり直すことができるとしたら……。
コロナ禍で、好むと好まざるとに関わらず、人間関係を見直すことになった人たちには、この映画はどう映ったのだろうか?
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吉沢亮さん、杉咲花さん、森七菜さん、松本穂香さん、柄本佑さん、好きな俳優さんたちがたくさん。
監督の狩山俊輔さんて、倉敷芸術科学大学の出身なんですね。大阪出身とは言いながら、なんだかうれしい。
●監督:狩山俊輔 ●脚本:杉原憲明 ●原作:住野よる(小説『青くて痛くて脆い』「第157回芥川賞」/角川文庫/KADOKAWA刊)