一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

フラグタイム

私的評価★★★★★★★★☆☆

フラグタイム

 (2019日本)

さとの同名漫画をアニメ映画化した青春恋愛ドラマ。3分間だけ時間を止められる女子高校生と、なぜかひとりだけその力が効かない同級生の少女との不思議な関係を綴る。

 3分間だけ時間を止める力を持った高校生の森谷美鈴(声:伊藤美来さん)。内気で他人と関わるのが苦手な彼女は、主にその力を人前から逃げ出すことに使っていた。ある日、彼女は止まった時間の中で、クラス一の美少女で人気者の同級生・村上遥(声:宮本侑芽さん)に目を奪われる。思わず遥のスカートをめくろうとした美鈴だが、そのとき遥が動き始める。なぜか遥には美鈴の力が及ばないのだ。これを機に、2人は誰も知らない秘密の3分を共有することになるのだが……。
WOWOWの番組内容から引用)

frag-time.com



 家庭で、学校で、仕事場で、家族と一緒の時でも、友人と一緒の時でも、同僚や顧客と一緒の時でも、自分の〝時間〟だけが止まっていた、と感じることがある。

 もし、そう感じたとき、現実に時間が止まっていたのだとしたら……。


 たぶん、無意識のうちに、周りの人との関わりを遮断したいと感じている瞬間なのだろう。



 周囲になじめない、周りから浮いてしまう。

 誰とも関わりたくない、誰とも関われない。

 でも、心のどこかでは、関りを断ち切れない、いや、むしろ、関りを持ちたいと、実は希っている。

 そんなとき、あなたなら、どうするだろうか?



 中には、全力で大きな声を張り上げて、周りを無理やり巻き込む中で、意気投合できる同士を篩い出す強者もいるだろう。


 自分に自信が持てず、大した野望もなく、自分自身が好きになれなかったボクは、常にATフィールドを展開して、弱弱しい自分の神経を守ろうとしてきた。

 生き延びるために、周りと折り合いをつけてきた。

 周りと折り合いをつけるために、周りが期待しているであろう自分を演じていた。

 決して、楽ではない、偽りの自分。

 すべてのルーティンを終えて、深夜に迎える一人の時間が、唯一、自分自身を取り戻せる時間なのだ。



 そんな内なる自分のフィールドに、不意に入り込む人が現れたら……。

 それは、知らず知らずに、互いに引き合う関係性なのかもしれない。

 ボクの人生には、まだ現れていない。


 心を閉ざして、心の成長を止めてしまったオッサンの、青臭いだけのたわごとだけど。




 『好き』は、心の奥底から止め処なく溢れ出してくる、純粋なキモチなのだと、この映画を観て、改めて思った。



●監督・脚本:佐藤卓哉 ●原作:さと(コミック『フラグタイム』/秋田書店刊) ●アニメーション制作:ティアスタジオ