一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

映画 えんとつ町のプペル

私的評価★★★★★★★☆☆☆

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映画『えんとつ町のプペル』公式サイトより引用

 (2020日本)

信じて、信じて、世界を変えろ。

 厚い煙に覆われた“えんとつ町”。煙の向こうに“星”があるなんて誰も想像すらしなかった。一年前、この町でただ一人、紙芝居に託して“星”を語っていたブルーノ(声:立川志の輔さん)が突然消えてしまい、人々は海の怪物に食べられてしまったと噂した。ブルーノの息子・ルビッチ(声:芦田愛菜さん)は、学校を辞めてえんとつ掃除屋として家計を助ける。しかしその後も父の教えを守り“星”を信じ続けていたルビッチは町のみんなに嘘つきと後ろ指をさされ、ひとりぼっちになってしまう。そしてハロウィンの夜、彼の前に奇跡が起きた。ゴミから生まれたゴミ人間・プペル(声:窪田正孝さん)が現れ、のけもの同士、二人は友達となる。そんなある日、巨大なゴミの怪物が海から浮かび上がる。それは父の紙芝居に出てきた、閉ざされたこの世界には存在しないはずの“船”だった。父の話に確信を得たルビッチは、プペルと「星を見つけに行こう」と決意する。しかしこの町の治安を守る異端審問官が二人の計画を阻止するために立ちはだかる。それでも父を信じて、互いを信じあって飛び出した二人が、大冒険の先に見た、えんとつ町に隠された驚きの秘密とは?

(映画『えんとつ町のプペル』公式サイト「STORY」より引用)
poupelle.com


 星空の美しさに号泣。
 アニメの完成度、すげー! STUDIO4℃の仕事が、実にスバラシイ!!!
 ただ、ずいぶんと気を持たせる前宣伝の割に、ストーリーに驚きが無かった。というか、むしろわかりミすぎて、薄っぺらいとも言えた。
 でも、王道的な家族愛と冒険を通じて成長する少年の姿を描いた冒険ファンタジーとしては、スバらしい出来の作品だったと思う。
 これなら、繰り返し何度も観てみたくなる、そう思った。
 幼いお子様をお持ちのファミリー向けとして、この年末年始におススメしても良い映画だと思う(ただ、2~3歳児の恐怖に駆られた泣き声が、劇場内にチラホラ聞こえてきたのは事実^^;)。


[2021.1.4追記]
 アニメのクオリティの高さに圧倒されて興奮してしまったが、絵本を見直して思った。絵本のままの方が、作品内容は良かったような気がする。絵本と違って、いろいろ想像を膨らませる余韻が無くなるのは、仕方ないとはいえ、ある意味、ありふれた冒険映画に落とし込んでしまったように思えた。
 また、この作品を見た先輩と話していて、相も変らぬ自分の薄っぺらさも実感した。
 曰く、
 「えんとつ町は、今の自粛生活を強いられているコロナ禍の世界に似ている」と。
 「為政者が感染症を封じ込めるために町をロックダウンし、町の外に興味関心をそそられないように人心を煙に巻いている」と。
 「ホントは異端審問官の監視に締め付けられ、閉塞感を感じているのに、多くの人間が下を向いて何でもないフリをして生きている」と。
 「そうした世界で、マスクもせず三密も気にせず、『新型コロナなんかただの風邪、みんな為政者に騙されているんだ』と吹聴しながら自由気ままに出歩くヤツと主人公たちの行動がダブって見えた」と。
 なるほど~。そういう感じ方をする人もいるんだ。そして、
 「『主人公が冒険を通して成長した』と言うけど、物理的な困難を乗り越えて、自信をつけたってくらいでしょ。為政者側とも、為政者に与する周囲の大人たちとも、ましてやイチバン身近にいる他人である悪ガキ3人とすらも、精神的な衝突を克服せずに終わってないかい? 子どもは集団生活の中で日々新しいことを覚える過程そのものが冒険であって、その過程で集団の中で心をぶつけ合い、互いの意見を尊重できるようになるのが成長だと思うけど」と。
 先輩の意見だけど、説き伏せられてしまった気分だった。
 でも、号泣しちまった自分は取り消せない。安っぽく感動したって、いいじゃないか。人間だもの。


●製作総指揮・原作・脚本:西野亮廣 ●監督:廣田裕介 ●アニメーション制作:STUDIO4℃