一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

天外者

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

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映画『天外者』公式サイトより引用

 (2020日本)

 江戸末期、ペリー来航に震撼した日本の片隅で、新しい時代の到来を敏感に察知した若き二人の青年武士が全速力で駆け抜ける ——
 五代才助(後の友厚/三浦春馬さん)と坂本龍馬(三浦翔平さん)。二人はなぜか、大勢の侍に命を狙われている。日本の未来を遠くまで見据える二人の人生が、この瞬間、重なり始める。攘夷か、開国かー。五代は激しい内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな折、遊女のはる(森川 葵さん)と出会い「自由な夢を見たい」という想いに駆られ、誰もが夢見ることのできる国をつくるため坂本龍馬岩崎弥太郎西川貴教さん)、伊藤博文森永悠希さん)らと志を共にするのであった ——

(映画『天外者』公式サイト「ストーリー」より引用)
tengaramon-movie.com


 朝ドラでディーン・フジオカさんが演じて一躍脚光を浴びた〝五代友厚〟の49年の生涯を、彼の人生同様、駆け足で描いた作品。
 正しく〝駆け足〟の内容でした。
 観進めれば観進めるほど、断片的なエピソードを繋いだだけという印象ばかりが残ってしまい、なんだか五代に思い入れを持てないまま終わってしまったカンジは否めません。
 なんだか後半になるほど、さまざまなエピソードの中身の唐突感がハンパなく、もう、薄っぺらいドキュメンタリーとしか言えないほどの無様さとまで言ったら、失礼でしょうか。
 特にラストなんか、本来ものすごく感動的に終わるべきところだったと思うんですけど、ず~っと人望が薄くて付いてきてくれる人がいない、とか、敵ばっかり作ってる、とかいうセリフばっかり繰り返し刷り込まれてきたと言うのに、実際、どこで何をしでかしたから、そんな逆風状況を逆転出来たのか、その辺の肝心なエピソードがごっそり抜け落ちていて、ただただ雰囲気だけで感動的に泣かせて終わらせてやろう感がイタいばかりでした。でも、雰囲気に呑まれて涙ぐんでしまったのは、まったく持って不覚です^^;

 主役の三浦春馬さんの遺作としては、ホント、惜しい作品ですね。
 もっと尺を使って、何なら幕末立志編と明治怒涛編の2部作、あるいは3部作くらいで、しっかり描いてほしかった、というのが本音ですが、もしかしたら、どうすることもできないまま、完成とするしかなかったのかも知れないという風に思うと、胸が痛むばかりです。
 返す返すも残念ですが、公開にこぎつけたことは、喜ぶべきでしょう。

●監督:田中光敏 ●脚本:小山江里子 ●音楽:大谷 幸