ウルトラQ〜dark fantasy〜第19話『レンズ越しの恋』
私的評価★★★★★★★★☆☆
ウルトラQ~dark fantasy~case10 [DVD]
(2004日本)
写真家志望の青年・矢島忠(高橋一生さん)は古い二眼カメラでの撮影中、レンズ越しにだけ姿を見られる少女(柊 瑠美さん)と出会う。彼女は戦時中に生きた女性だった。
現代に生きる青年が、レンズが恋をした女性と50年以上の時を介して巡り合う、仄かで切ないタイム・トリップ・ラブ・ストーリー。
(DVDパッケージから引用)
2004年テレビ東京系で放送された〝ウルトラQ〜dark fantasy〜〟全26話のうちの第19話です。
DVD同時収録は、第20話『密やかな終幕』(監督:高橋巌/脚本:岡野ゆうき)
写真屋の三代目になることを迫られるも、写真家になる夢を捨てられず、結局何も為さないまま日々を無為に送っていた忠。寝たきりの祖母(原 知佐子さん)に、遺影を撮ってほしいとお願いされるが、写真家としての自覚も自信もないまま、撮ることが出来ずにいた。ある日、屋根裏部屋に眠っていた祖父の二眼カメラを持ち出した忠は、さまざまな場所で試し撮りをしていた。そのさなか、神社の境内でカメラを覗き込んだところ、その場にいない少女がレンズの中に現れ、忠に向かって「お帰りなさい」と言いながら微笑みかけてきた。名前を尋ねると少女は「この戦争が終わるまで、互いに名前を明かさない約束」をしたと言う。ラバウル、勤労奉仕、次々と意味不明な言葉を発し、駆け去る少女。家に戻って祖父の日記を紐解き、祖父がラバウルの戦地に赴いていたことを知る忠。やがて、昭和20年3月10日、東京大空襲の日が近づき、少女の勤めていた紡績工場も戦火で焼失していたことを知った忠は……。
〝遺影を撮影する〟というのは、写真館ならではなのかな?
それとも一般的に、わざわざ撮りに行くものなのかな?
いずれにしても、その撮影シーンだけで、すでに胸がいっぱいになり、涙がじわっとにじんできてしまいます。
〝カメラ恋慕症〟
カメラが恋するなんて、量子物理学研究30年の重鎮・渡来博士(草刈正雄さん)は、相変わらずロマンティックな仕事をされますね^^;
カメラに残った60年前の祖父の思念が蘇ったのかい?
メルヘンだねぇ。
メルヘンだけど、最後にばあちゃんと忠がしっかりと抱擁する姿は、涙無しには見られないのでした。
ばあちゃん役の原知佐子さんは、実相寺昭雄さんの奥様ですが、何と言うことでしょうか、ちょうど1年前の2020年1月19日に84歳でお亡くなりになっていたのです。本作を再び観たくなったのは、『東京少女』を観た流れでしかなかったのですが、それも加湿器のフィルターを漬けおき洗いする時間を埋めるためだけに、気まぐれに選んだDVDでしかなかったんです。何とも不思議なご縁を感じずにはいられませんね。
謹んで、原知佐子さんのご冥福をお祈り申し上げます。
●監督:服部光則 ●脚本:小林雄次