一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

築地魚河岸三代目

私的評価★★★★★★★★★★

築地魚河岸三代目 [DVD]

 (2008日本)

 30代半ばで一流商社の人事課長に抜擢された赤木旬太郎(大沢たかおさん)は、昇進祝いの酒宴で常務からリストラの陣頭指揮を押し付けられ、悩んでいた。常務のリストラ名簿には、旬太郎が入社当時から世話になっていた金谷(大杉漣さん)の名前があったのだ。二日酔いの早朝、旬太郎は恋人で服飾デザイナーの明日香(田中麗奈さん)が、築地市場に出かけるのを目撃し、彼女が仲卸「魚辰」の娘で、入院した父・二代目魚辰の鏑木徳三郎(伊東四朗さん)に代わって店の手伝いをしていることを知る。毎晩遅くまで店の装飾に立ち会って眠っていない明日香を助けたい一心で、旬太郎は魚辰の手伝いを買って出ることにした。しかし、プロ同士のやり合う仲卸の現場に、ド素人の旬太郎は足手まといになるだけだった。その後、金谷を退職に追い込むことになった旬太郎は、責任を感じて常務に辞表を出すと、その足で退院したばかりの徳三郎に会いに行き、自分を雇ってもらうよう申し出たのだった…。


 寅さんの後、「虹をつかむ男」でこけかけた松竹さんが、人気コミック原作の「釣りバカ日誌」で見事人情ドラマの地位を盛り返し、すでに19作を数えるまでになったところで、二匹目のドジョウを狙った人気コミック原作第2弾「築地魚河岸三代目」をこの夏公開、これも当たって来年次回作が公開されるという流れができた模様です。

 まぁ、ありきたりっちゃありきたりの設定だろうし、こういう「予定調和の安心感剥き出し」みたいなドラマは、世間様ではそう高い評価は受けないかもしれないとは思いつつ、もう完全にハマッてしまったワケですよ。

 予定調和だろうが、なんだろうが、トータルで、完成された人情ドラマだと思うんですよね。過不足無く登場人物が配され、嫌味の無い程度に因果話がドラマのアヤをなし、ここぞ!というところで、ちゃんとキレのある盛り上げ方をしてくれる、スッキリ笑えてスッキリ泣けて、こんなに見終わったあとに気持ちのいい映画に、満点をつけない理由はありません。


 田中麗奈さんが、久々に「イイな」と思えました。分かっていて「○○○ちゃん!」と言ってしまう間が絶妙で、どわぁ〜っ!と一気に涙腺全開になってしまいました。もちろん、登場人物みんなが「イイな」と思える配役だったせいもあるでしょうが、彼女はけっこう役を選ばない感じもあるので、当たり外れも大きい気がするんですよね。本作は、ぜひ続けて出演して欲しいです。(釣りバカのハマちゃんの奥さんみたいに、途中で交替しないでね^^)

●監督:松原信吾 ●原作:大石けんいち 他(コミック「築地魚河岸三代目」作画:はしもとみつお) ●音楽:本多俊之