一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

サイダーのように言葉が湧き上がる

私的評価★★★★★★★★★☆

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劇場版オリジナルアニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』公式サイトより引用

 (2021日本)

17回目の夏、地方都市⸺。
コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、
いつもヘッドホンを着用している少年・チェリー(声:市川染五郎さん)。
彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。
矯正中の大きな前歯を隠すため、
いつもマスクをしている少女・スマイル(声:杉咲花さん)。
人気動画主の彼女は、“カワイイ”を見つけては動画を配信していた。

俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、
見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、
ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。

ある日ふたりは、
バイト先で出会った老人・フジヤマ(山寺宏一さん)が失くしてしまった
想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。
ふたりはそれを自分たちで見つけようと決意。
フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、
チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。

だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って⸺。

物語のクライマックス、
チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは心の奥深くまで届き、
あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。

アニメ史に残る最もエモーショナルなラストシーンに、
あなたの感情が湧き上がる!

(劇場版オリジナルアニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』公式サイト「STORY」より引用)

cider-kotoba.jp


 劇場で最初に予告編を観たのは去年の夏だった、と思う。
 絵の雰囲気が好みで、俳句がモチーフになってるのも気になって、とっても観たかった作品だったのね。

 絵柄で特徴的なのは、特に背景かな?
 今どきのアニメは、ともすれば実写かと見紛うほどにリアルで精細な背景画に圧倒されるんだけど、ときにキャラクターの雰囲気と合ってないと感じることがあるのね。
 本作の場合は、雑な例えだけど〝浮世絵〟みたいな、けっこうシンプルなタッチの背景画が、ビビッドな原色に塗り分けられてて、17歳の夏物語を描くのに相応しい雰囲気を演出していたと思う。
 そういえば、雲の塗り分け方を見て、1980年代に一世を風靡した、わたせせいぞうさんの漫画(アニメ)の〝ハートカクテル〟を思い出した。作品の雰囲気はまったく違うけど、爽やかでポップな感じは似てるかな?

 大貫妙子さんの劇中歌〝YAMAZAKURA〟がめっちゃエモかったなぁ^^;
 久しく彼女の歌声を聴いてなかったので、懐かしさもありながら、印象的なクライマックスの映像にしっくり合ってて、胸にジーンと響いたね。彼女の歌声は、ホントにシンプルに心に沁み込んでくる。

 ストーリーも、面白かった。
 チェリーとスマイルの初恋物語に、フジヤマ老人の探し物である〝アナログ・レコード〟にまつわる〝謎解き〟と〝探索〟というミステリー的な要素を交えて、後半は意外なほど感動的な展開を見せてくれた。
 物語中に散りばめられた、何気ない小ネタの数々の回収も見事。

 そして、何よりクライマックスで、サイダーのようにほとばしる感情の爆発と盛大な打ち上げ花火のシンクロ!
 あざといけど、めっちゃ感動して、涙ドバドバ溢れてもたわ~^^;

 できれば、もう一回、劇場で観たいな。


※予告編

www.youtube.com


●監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ ●脚本:佐藤 大 ●演出:山城智恵 ●原作:フライングドッグ ●アニメーション制作:シグナル・エムディ×サブリメイション ●劇中歌:大貫妙子『YAMAZAKURA』 ●主題歌:never young beach『サイダーのように言葉が湧き上がる』