一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

銀色のシーズン

私的評価★★☆☆☆☆☆☆☆☆

銀色のシーズン ブルーレイディスク [Blu-ray]

 (2007日本)

 『雪山の何でも屋』を標榜し、ゲレンデで暴れ回る3人組のリーダー城山銀(瑛太さん)と結婚式を3日後に控えた女性・綾瀬七海(田中麗奈さん)を中心に、スキー場を舞台に描いた…群像劇?


 すみません、WOWOWで放送があることを知り、田中麗奈さんつながりで「まぁ、見てみようか」と思って見たような次第で、実はあまり気乗りしてなかったんです。劇場で予告編を見たときから「胡散臭いストーリーっぽいな」と思ってて、DVD発売のときも、もういちどトレーラーとかチェックした上で、見送ってた作品なんです。なんとなく、「好みじゃない予感がする」といった程度の理由だったんですけど、やっぱり、予感は当たってました。

 いきなり、ギャングばりのヤリタイ放題のバカ騒ぎで始まるオープニングは、いかにも「楽しくなけりゃ…」のためなら何でもやってまうフジテレビっぽい演出で、すでに開始3分で顰めた眉間のしわが伸びきることなく、「若けりゃ何やってもエエんか!」と次第にムカついてきて、もうなんか誰にも感情移入できそうもない展開が続きだすと、日ごろから「若い人の間に入って行けない」オッサンの焦燥感が頭をもたげ、30分も見れば「もはやオッサンが見て楽しめる映画やないな」と、もう、途中で何度見るのを中断しようと思ったことか…。

 好みの問題ですから、例えばスキーが好きでたまらん、という人にとっては、その方面での楽しみ方もあるとは思うんです。冒頭からスペクタクルなスキーシーンを画面いっぱい見せられ、劇中でも何度もそういったスケールの大きいシーンが映し出されるワケですが、一部にワイヤーアクション&VFX処理済み映像が挿入されているんじゃないかと思うと、すっかり興醒めしてしまいます。プロスキーヤーが物凄い崖を滑り落ちるように滑走する映像を見たことがありますが、そういった『ホンモノ』を知ってしまうと、ウソが混じっている可能性を排除できない加工済み映像作品は、お安くなってしまいますね。
 また、寒さのせいかどうかは知りませんが、どうしようもなく『顔色が悪い』ばかりの田中麗奈さんが、まったくこの映画では魅力を感じられなかった…という印象です。よく分かりませんが、シナリオが良くないのかな?

 正直、どこに焦点が合ってるのか分かり難いシナリオだと思うんですよね。冒頭で、「群像劇?」と要約してしまいましたが、ホントは、銀と七海の恋愛ドラマ(が中心)でイイんだと思うんですよね。でも、シナリオ的に、あんまりハッキリと銀と七海の恋愛が深まるストーリーにはなりえない、かと言って、一度挫折したスキーヤーが奇跡の復活を遂げるスポ根などではサラサラない。銀の仲間のふたりについても、プロフィールが掘り下げかけられて、「あ、やめやめ」みたいに投げ置かれ、銀とはワケありそうな國村隼さんなんか、結局銀との関係なんかサッパリ分からずじまいだったし、群像劇と言うにもハンパな感じは否めないし…。

 一番「イヤだな」と思ったのは、七海がボーゲンができるようになるエピソード…見ていてなんか、吐き気がしてくるほどのいたたまれなさを感じて仕方なかったです。で、予想通り、「足元ばかり見てちゃダメだ」が押し付けがましくもキーワードとなって、クライマックスになだれ込む…もう、なんてキモチ悪いシナリオなんだろう。なんかもう、ウソ臭くてウソ臭くて…「もぉ〜!い〜から雪崩に流されて、屋根の上滑ってどこへでも飛んで行って〜!」みたいな。

 クライマックスの盛り上げ方に、一応評価して星2つ。でも、個人的には2度と見ない作品ですね。あくまで個人的に…たぶん、若い世代には高評価もありかな、とは思いますが、ボクは生理的に受け付けない種類の作品でした。

●監督:羽住英一郎