一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

007/黄金銃を持つ男(The Man with the Golden Gun)

私的評価★★★★★★★★☆☆

007 黄金銃を持つ男 デジタル・リマスター・バージョン [レンタル落ち]

 (1974イギリス)

 いやぁ、笑える映画、007シリーズの中でも、かなり笑える作品です。ボンドを狙う殺し屋スチャラカマンガ、もといスカラマンガの名前でまず笑撃を受け、全編に散りばめられた小ネタのマンガチックな展開にゲラゲラ笑い、映画って、ホントにいいもんですね?の一言でもつけたろか、というところです。


 ボンド(ロジャー・ムーアさん)の元に、黄金銃を持つ男・スカラマンガ(クリストファー・リーさん)と名乗る殺し屋から挑戦状が届き、手がかりとなる黄金の銃弾を作る男を訪ねてボンドはマカオへと向かいます。毎回観光ツアーのプロモーションビデオと化している007シリーズですが、今回は、冒頭のベイルートを除いて、マカオ・香港・タイを中心にアジアン・テイスト満載の舞台になっています。特にタイでさんざん大暴れしておいて、最後はプーケット島のスカラマンガの屋敷で決闘…という展開です。


 以下、笑えるエピソードなど。(1)黄金のライターやペンを組み立て直すと黄金銃になる。なんてチャチなんだ…!(2)スカラマンガにはニックナックという小人の召使いがいるが、顔がかなり濃い!(3)スカラマンガを雇った中国人ハイ・ファットの屋敷に夜中に訪ねていくと、広大な庭の通路の途中で、何故か相撲取りがふたり、ボンドを待ち構えている。暗闇に相撲取りふたり…怖い! それを陰で操るのが怪しげな仮面を被り海パンひとつにオモチャっぽい刺股みたいな棒を持った小人。(4)ボンドを抑えて敵の集団に立ち向かう異常に強いカンフー使いの女子高生ふたり。(5)タイの川の観光船で象の木彫りの置物を観光客相手に売りつける少年とボンドのやりとり。(6)前作でボンドにさんざんコケにされたルイジアナの保安官ペッパーが、妻とタイに観光旅行に来ていた。象をバカにすると、象に水をぶちまけられる。(7)スカラマンガの車のトランクに発信機を取り付けたのに、あっさりトランクに押し込まれる女性諜報員グッドナイト。(8)ボンドたちが追跡しようと車に乗り込むと、キーはグッドナイトが持ったまま。(9)車屋の店頭から追跡用の車を調達すると、助手席にペッパーが乗っていて、そのまま追跡劇に加わる。(10)セスナに変身するスカラマンガの車。(11)それをおもしろくもなさそうにじっと見上げる地元警察官たち(素人丸出し!)。(12)プーケットのスカラマンガの屋敷は、カラクリ屋敷。(13)最後の小人との格闘シーンは、ほとんどドリフ!(14)Mが最後に電話で女性諜報員に呼びかける“グッドナイト”に、“グッドナイト(おやすみなさい)”で返して電話を切るボンド。変な名前の諜報員だと思ったら、そんなダジャレで終わらせるとは…!

 特にカーチェイスの中で見せた、壊れた橋を飛んで渡るのに、端のねじれに沿って左に360度錐もみ回転しながら空中を飛ぶスタントは、むちゃくちゃ凄いんだけど、まるっきりマンガ! 感動とともに笑ってしまいます。

 スカラマンガを演じるクリストファー・リーさんは、子どものころ見てトラウマになったほど怖かった吸血鬼ドラキュラの主演俳優さんです。最近では、ロード・オブ・ザ・リングでサルマンを演じていました。

 ボンド・ガールにはあまり興味がないボクですが、一言。スカラマンガの愛人役でモード・アダムスさんが出ているんですが、後に同じロジャー・ムーアさんの演じるボンドが登場する“オクトパシー”で再びボンド・ガールのオクトパシーを演じています。ロジャー・ムーアさんのボンド・シリーズには、本作のペッパー保安官を始め、殺し屋ジョーズとか、複数の作品に登場する人物がたびたびあるので、同じ女優さんが別の役で登場したのには、ちょっと首を傾げてしまいました。

●監督:Guy Hamilton ガイ・ハミルトン