一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

さよならジュピター

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

さよならジュピター 東宝DVD名作セレクション

 (1984日本)

 VFXだとかCGだとか、特撮映像はすごいと思います。ただ、小松左京センセー、ストーリー詰め込みすぎで、お腹いっぱいです。あらすじがうまく書けんとです!

 でも、あらすじに挑戦してみます。


 ときは2125年。地球の人口は180億、太陽系宇宙空間の人口は5億に達しており、宇宙空間で暮らす人類のためのエネルギー源確保が急がれていました。そのひとつとして、火星の極冠の氷が溶かされ、火星に水資源がもたらされたところ、極冠のあとからナスカの地上絵そっくりの模様がモニターに映し出されます。宇宙言語学者のミリセント・ウィレム博士は、それが宇宙人からのメッセージで、木星の大赤斑にその秘密を解くカギがあるらしいと解読し、木星のミネルヴァ基地に向かいました。木星では地球連邦大統領直属のSSDOの推進する木星太陽化計画(JSP)が、本田英二チーフ(三浦友和さん)を中心に進行中でした。ミリセント博士は英二の力を借りて、大赤斑に調査に向かい、長さ120キロもある謎の飛行物体“ジュピター・ゴースト”と遭遇しますが、その正体は不明でした。そのころ、冥王星の遥か彼方の彗星の発生ポイントから数年来彗星が太陽系に向かって来なくなったことを、井上博士(平田昭彦さん)とキーン大尉が宇宙船スペース・アローで調査に向かっていましたが、突如消息を絶ちました。彗星源探査本部のムハンド・モンスール(岡田眞澄さん)は、スペース・アロー消失の原因を探るうち、ブラックホールが太陽系に向かっていることをつきとめます。ブラックホールが太陽系に影響を及ぼし始めるまで2年、英二は木星を爆破してブラックホールの軌道を逸らすことを提案、JSPのスタッフたちと実行に移しました。しかし、宇宙の自然を守ろうとするジュピター教団のタカ派がたびたびテロを起こし、計画は何度となく邪魔されます。そして、ついに木星爆破を目前にしたそのとき、ミネルヴァ基地に潜入したジュピター教団のテログループと、英二たちの銃撃戦が起こり…。


 ジュピターゴーストの話は、意味不明なエピソードです。本作に必要だったのか? 単にストーリーをかき乱してるだけなんじゃないのか? なんだったんだ、ジュピターゴースト!

 ジュピター教団、なんで放っておいてもブラックホールにより消滅する運命の木星の爆破を、断固阻止する? 狂信的、という言葉で説明するには根拠希薄、なにより、爆破阻止のあと、火星への脱出を計画に組み込んでいるに及んでは、ますます意味不明で、行動の原点がまったく見えてきません。本当にキチガイ沙汰です。

 人類が救われても、主人公が全滅するエンディングには、まったく希望が見えてきません。このあたりのストーリーも、やりすぎです。本で読む分には、こういうストーリーもありかな、とは思っても、映画となると、やるせなさだけが残って後味悪いです。

 そのほか、たわごと。本田英二とキーン大尉、久々に会ったふたりが、友情の証かどうか知らんが、本気でしつこく殴り合うのはどうなの? 見ていて吐き気がしてきました。頭おかしんじゃないの、この演出許したヤツら。無重力SEX…オールヌードのふたりが宇宙空間をさまようようにじゃれ合うさまを、延々流し続けるセンスの悪さには、恐れ入ります。ジュピター教団、地球での生活ぶりは、思考停止して遊んでいるだけ、目先の快楽に耽っているだけの脱力系集団。おまえらに、必死で生き延びる術を探り、実行している連中の邪魔をする資格はないやろ。ピーターとかいう教団の代表のおっさん、能天気にギター弾いて歌ってるだけの小汚いヒッピーのくせに、太りすぎと違うか? ミリセント博士、昔好きだったのが井上博士で、英二の墓の前では「好きな人の墓ばかり作るのはもうごめん」みたいな発言してたけど、英二を好きになるようなエピソードはあったっけ?

 なにより、英二の恋人マリアがジュピター教団でテロ活動をしている理由が分からん。ロミオとジュリエットに例える人がいるけど、それとも違うやろ。人間は矛盾を孕んだモノだけど、マリアの行動は胸クソ悪くなるほど矛盾だらけで、うんざりしてきます。

 ああ、なんてこったひ…結局、イチャモンつけるネタには事欠かないばかりで、なにひとつスッキリしない顛末に、小松左京大センセーを恨みたくなるボクでした。超駄作…ToT

●監督:小松左京/橋本幸治 ●特技監督川北紘一