一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

妖星ゴラス

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

妖星ゴラス  [東宝DVD名作セレクション]

 (1962日本)

 1980年、第1回土星探検宇宙船隼号が、地球の6,000倍という怪星ゴラスの調査に向かったが、強烈な引力に引き込まれ、消失してしまいます。隼号が最後に地球に発信したゴラスの調査報告を分析した河野博士(上原謙さん)と田沢博士(池部良さん)は、今のコースで進んでくるとゴラスが地球に衝突する恐れがあることを導き出しました。国連はゴラス対策に本腰を入れ、日本政府へ鳳号をゴラス調査のため派遣するよう要請してきます。鳳号の調査報告から、地球の科学力ではゴラスを爆破させることはできないと結論付けられ、南極大陸原子力ジェットパイプを並べ66億メガトンの推力機関を建設し、地球の軌道をゴラスのコースから逸らすことになりました。


 地球の運命は…ま、予定調和な結果ではありますが、なかなかよくできたパニック映画ですよ。

 特撮では、南極の建設現場のミニチュアが力はいってるな、と感じられました。日本を襲った高波・突風・地割れの被害、東京タワーから見下ろす海に沈んだ東京の様子なども秀逸です。

 南極に突如現れたセイウチのような怪獣マグマ(でも、爬虫類なんだそうです…そうは見えません。)を退治するのに、VTOL型戦闘機が出てきます。おそらくウルトラマン科学特捜隊、ビートルのオリジナルでしょう。余談ですが、中学生になって英語を習い始めて、科特隊のビートルは“カブトムシ”のことだと思っていました。なんでカブトムシなんだろうと不思議に思っていたのですが、ハリアーなどの航空機の垂直離着陸する機構をVTOL(Virtical Take Off and Landing)というのを知って、勘違いだったと理解しました。きっと、ヴィートルが正しいんですよね?

 ところで、南極にあれだけ熱源を集中すると、ゴラスが接近しなくても氷が解けて、高波が発生すると思うんですけど…それは言わぬが花なんでしょうね。彗星や小惑星が地球に衝突するというストーリーは、数限りなくテレビドラマや映画に使われていると思いますが、本作のような荒唐無稽とも思える解決策は、他に例がないでしょうね。とりみき火浦功といったあたりのスチャラカ漫画家、小説家が使いそうなオチです。“人類の英知を結集して…しょうもないモンを創った”とかいう展開を思い出します。でも、とっても真面目に作ってるんですよねぇ…イヤ、おもしろい作品ですよ。

●監督:本多猪四郎 ●特技監督円谷英二