毎日が夏休み
私的評価★★★★★★★★★☆
(1994日本)
私立女子中学に通う優等生の林海寺スギナ(佐伯日菜子さん)とエリートサラリーマンの義父・成雪(佐野史郎さん)が、平日の真っ昼間に公園でばったりと顔を合わせました。スギナは登校拒否、成雪は会社を退社していたのです。成雪はスギナと一緒に「何でも屋」を始めると言いだし、妻の良子(風吹ジュンさん)は慌てふためきます。
レールに乗っかる人生、優等生→エリートサラリーマン、それに寄り添う妻・母という人生、それを否定する生き方をファンタジー仕立てでコミカルに描いた佳作です。登校拒否の娘と失業した夫という現実を前に、慌てたり嘆いたり、ふてたり怒ったり…良子の極フツー人的反応と、どうしたらそこまで悟りきったように謙虚に前向きになれるのか、という成雪のトボけた役の対比がおもしろいです。
10年以上たった今、日本全国にこんな境遇の家庭が極当たり前に発生しているんではないか、という時代ですが、この映画のようにあっけらかんと前向きになれたら、というのは無理な話。成雪のキャラは、ありえないくらい出来すぎてます。でも、なんか見ていて笑えて、見終わったあとも少しは前向きになれるかな?という感じの映画です。「レールからはみ出しても、人生はやり直せるんだよ」と、やさしく背中を押してくれる感じがイイですね。
佐伯日菜子さんの映画デビュー作です。当時16歳か17歳の高校生のはずです。彼女の演技は初々しく、金子監督も彼女のはじけるような眩しさを画面いっぱいに見せてくれています。
DVDはレターボックスのヴィスタサイズですが、非常に画質が悪いです。ビデオ化したときのまんまDVDに焼き直したようです。快盗ルビイ、四月怪談、東京上空いらっしゃいませなどと同様、デジタル・リマスターして欲しい作品のひとつです。