一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ナショナル・トレジャー(National Treasure)

私的評価★★★★★★★☆☆☆

ナショナル・トレジャー 特別版 [DVD]

 (2004アメリカ)

 文明発祥から人類の歴史を彩ってきた世界中の秘宝が、ヨーロッパからアメリカに持ち出されますが、アメリカ独立戦争のさなかにイギリスに奪われないよう、秘密結社フリーメイソンによって隠されました。ゲイツ家に代々伝わる「秘密はシャーロットとともに眠る」という暗号を解いたベン・ゲイツニコラス・ケイジさん)は、北極の氷雪に埋もれていた古船シャーロット号を発掘し、船倉から暗号を書いたパイプを発見します。その暗号から宝の地図はアメリカの「独立宣言書」の裏に仕込まれていることが分かりますが、そこで仲間のイアン(ショーン・ビーンさん)が裏切り、ベンを氷雪に閉じ込めて独立宣言書を盗み出すためアメリカに戻りました。ベンは相棒のライリーとともに氷雪を脱出すると、イアンの陰謀を阻止するため独立宣言書の保管されている公文書館へ出向き、美人博士のアビゲイルダイアン・クルーガーさん)にすべてを打ち明け、独立宣言書を調べさせて欲しいと訴えますが、彼女はベンの話を信用しません。最後の手段として、ベンはライリーとともにハイテク監視装置に守られた独立宣言書を、イアンより先に盗み出すことを決意しました。


 インディ・ジョーンズ、ロマンシング・ストーンといったアクションたっぷりの宝探し冒険譚の流れを汲む作品です。ただ、舞台がアメリカ独立に関わりの深い都市なので、ジャングルも古代遺跡も出てきません。パーティのさなかの公文書館に侵入するくだりは、ハドソン・ホークセイント、ミッション・インポッシブルなどを連想させます。

 独立宣言書の盗難に気づいたアビゲイルを巻き込んで、ベンは3人で宝探しの謎解きを開始します。謎解き部分は全般にけっこう大雑把です。最初のパイプの暗号解読のくだりなんか、なんでそこまで一気に読み解けるんだ?という勢いで話が進んでいくんですが、アクションをふんだんに盛り込むためには、テンポが大切でしょうから、そのへんは大目に見ないといけません。むしろ、頭で考えたりせずに、楽しむべき作品でしょう。とはいえ、独立宣言書や100ドル紙幣といった、実在のモノに謎が隠されているという設定は、十分引き込まれます。

 アクション部分は、さすがハリウッドですね。ハラハラ・ドキドキ、手に汗握るシーンがふんだんに登場します。007シリーズのような過剰な演出ではないので、好感持てます。

 ストーリーは、二転三転したり、極端にピンチに陥ったりしない分、やや物足りないと感じる方もいるかもしれません。しかし、インディ・ジョーンズのように超人的な主人公の活躍がない分、主人公に生身の人間の部分を感じます。ボクはこういうストーリーの方が好きですね。悪党が冷酷に人を殺すようなシーンがないのもポイントです。子どもと一緒に、家族みんなで楽しめるんではないかな?

 ニコラス・ケイジさんは、いかにも画面から独特の体臭が臭ってきそうな俳優さんというイメージです。ハンサムではないし、徹底的にカッコいいヒーローになることもないけれど、なんか魅かれる俳優さんですね。ショーン・ビーンさんは、主人公を裏切るタイプの役が多いような気がします。007シリーズのゴールデン・アイやロード・オブ・ザ・リングでもそんな役回りでした。ベンの父役のジョン・ボイドさんも、たまに裏切り役をするのですが、今回はゲイツ家の一員として、ベンを手助けする役です。渋くていい俳優さんですね。

 ハリウッド映画はアメリカの独善が好かんのであんまり見ないんですが、その独善も、「世界中の宝がアメリカにあった」なんて、そこまで大風呂敷広げられたら、笑うしかありません。笑って楽しみましょう。

●監督:John Turteltaub ジョン・タートルトーブ ●製作:Jerry Bruckheimer ジェリー・ブラッカイマー