妖怪大戦争

私的評価★★★★★★★☆☆☆

　（2005日本）

　両親の離婚で東京から鳥取県境港の母（南果歩さん)の実家に移ったタダシ（神木龍之介くん)は、祭りの夜に平和の守護者“麒麟送子”に選ばれました。その頃、魔人・加藤保憲（豊川悦司さん)は、人間の捨てた機械と妖怪を合体させて、鉄の怪物を創り出し、地上に送り込み始めていました。危険を察知した麒麟送子の先導役の“猩猩”（近藤正臣さん）は、加藤の企みを阻止すべく、麒麟送子に選ばれたタダシを天狗の山に誘い出し、“大天狗”に預けた聖剣を抜かせ、鉄の怪物たちに立ち向かわせようとしました。ところが、タダシは聖剣をうまく操ることが出来ず、加藤の手先になった“鳥刺し妖女・アギ”（栗山千明さん)の一撃で、聖剣を折られてしまいます。聖剣を再生するためには“一本だたら”（田口浩正さん)の刀鍛冶の技が必要でしたが、一本だたらは加藤に捕獲されていました。妖怪たちが戦いをためらううちにも、加藤は着々と準備を進め、ついに東京都庁を占拠し、首都に鉄の怪物たちを解き放ってしまいました。

　夏休み、ということで、夏の鳥取県境港の風景なぞを織り込みながら、さりげなく水木しげるロードや水木しげる記念館なんかを映し、しっかり町のPRもしております。昨年末に行ってきたばかりなので、懐かしく思い出しながら、もう一度今度は映画と同じ夏に行ってみたいな、なんて思いました。

　神木くんは、相変わらずうまいなぁ。特に声が裏返ってしまう絶叫には、たいていの方が胸キュンになってしまうんでないかと。しかも、その辺の効果を十分計算して演技してるんだろうな、なんて思うと…ま、ぼちぼち声変わりする頃でしょうから、今のうちにしっかり稼ぐしかないよな（爆)。

　この映画のラストは、どうなんでしょうね？　ちょっと蛇足っぽい気がするんですけど…神木くんの独白からの暗転でそのままエンドクレジットでも良かったんじゃないかという気がするんですが、思わせぶりな描写についての意味もよく分からなくて、ちょっと座わりが悪かったです。

　ま、ラストもラストですが、逼迫したピンチに対して、「それでいいのか？」と言うようなギャグでしのいでしまうという荒業が、何度か炸裂しています。ぐぐぐっと映画の世界に引き込まれていたら、突如足もとを緩々にすくわれてしまうような、トンデモない展開です。緩急・硬軟ない交ぜって感じです。三池監督のイメージは、なんとなくバイオレンス映画が得意という偏見がありましたが、この方はオールマイティなんですね。オールマイティなのは分かりましたが、そこまで遊ぶか、という気がしました。

　肩の力を抜いて、笑うつもりで観ましょう。そのつもりで観れば、ときおり感動させてくれたりして、儲けた気分になれるはずです。妖怪のメークの下に隠れた、役者さんの素顔を探すのも一興です。クレジット見ないと分からない人、けっこういますよ。

●監督：三池崇史