一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

県庁の星

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

県庁の星 スタンダード・エディション [DVD]

 (2005日本)

 K県庁のエリート公務員・野村(織田裕二さん)は、自らが企画・推進する200億円の箱物プロジェクトの実現のために、民間人事交流プロジェクトの派遣研修を受けることになりました。派遣先のスーパー満天堂浜町店では、パート従業員の二宮(柴咲コウさん)が野村の教育係になりますが、役所のスキルを押し通そうとする野村は、スーパーの現場で空回りし、いつしか孤立してゆきます。そこへ、野村の知らない間に県の200億円のプロジェクトが独自に動き始め、野村は建設会社社長令嬢の婚約者からも婚約破棄を言い渡され、深い挫折を味わうことに…。一方、満天堂は、保健所と消防署の抜き打ち査察の結果、営業停止のピンチに直面していました。このピンチの局面に、野村と二宮が立ち上がりますが…。


 エリート県庁職員が自分たちを「官僚」と呼んでいるらしい…ホンマですか? なんかウソ臭せぇ…野村のライバルで同期入庁の桜井(佐々木蔵之介さん)が口にする「地方行政の美しき縮図」というのは、あるていど分からんでもないけれど、県庁舎の中に職員のためのコーヒーラウンジがあったり、研修予算がダブついてるから何か研修考えろとか、ちょっといったいいつの時代の地方行政をモデルに考えたんだろうという、そんな胡散臭い設定がけっこう目に付きます。霞ヶ関の世界をそのまま県庁に下ろして当てはめたのだとしたら、取材不足という気がします。イヤ、あくまで架空のファンタジーだと言われれば、テレビドラマの警察行政の取り上げ方もかなり脚色されていますから、そんなに目くじら立てることもないのでしょうが、何せ地方自治体なんかあんまりドラマで取り上げられないですからねぇ。ちょっと気になりました。

 まぁ、ファンタジーっちゃ、ファンタジーかもね。でも、満天堂のピンチの脱し方なんかも、別段特別なことはしてないし、その後の県庁内部での野村の立場の変化や、県知事だとか県議会議長だとかの取り計らいなんてぇのも、ありそうな話だし、いったいどこが面白いんだろうねぇ…ストーリーは陳腐ですよ。でも、そこそこ見せてしまうのは…まちがいなく柴咲コウさんの演技のおかげだろうね。彼女は、この作品の中でも、特に輝いて見えました。

●監督:西谷弘 ●原作:桂望実(小説「県庁の星」)