一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

UDON

私的評価★★★★★★★★☆☆

UDON スタンダード・エディション [DVD]

 (2006日本)

 世界に通用するコメディアンになるため、香川で製麺所を営む父の反対を押し切って実家を飛び出し、単身ニューヨークに乗り込んだ松井香助(ユースケ・サンタマリアさん)でしたが、挫折して香川に舞い戻って来てしまいます。ひょんなことから地元タウン情報誌の編集者・宮川恭子(小西真奈美さん)と知り合った香助は、彼女の会社に就職し、地元の人間でも知らない製麺所のうどんを取り上げるコラムを企画します。コラムは大反響を呼び、その波紋は全国に広がる一大うどんブームを巻き起こしました。


 まぁ、とにかく。全編通して見ているうちに、猛烈にうどんを食いたくなってしまう映画でした。

 前半の1時間は、実際のうどんブームの喧騒をその静かな始まりからものすごいテンポで描きあげ、後半の1時間で、失われかけた親子の絆の物語が穏やかな流れで描かれていくという、そんな構成になっています。

 職人気質の父親、苦楽をともにしながら父を支えた母の早世、そんな夫婦の姿から父に反発する息子、ある意味ステレオタイプの親子関係ですが、ふたりの関係の修復は一筋縄ではいかず、決して安易な解決には至りません。そしてそんなふたりの関係が、後半をひとつの「うどんファンタジー」として盛り立ててゆきます。

 まぁ、いろいろ紆余曲折はありますが、見終わったあとは、美味しいものを食べたときみたいに自然と頬がほころぶような爽やかな映画ですね。

●監督:本広克行