陸軍中野学校 竜三号指令
私的評価★★★★★★★★★☆
(1967日本)
昭和15年、日中和平交渉のため重慶に向かう日本の特使を乗せた車が、上海で何者かに狙撃され爆発炎上、特使一行5人が殺害された。事件はコードネーム竜三号として、陸軍中野学校1期生の椎名次郎(市川雷蔵さん)にも捜査の指令が下りた。事件の鍵を握る物証は、狙撃に使われたモーゼル拳銃の銃弾と、3桁のナンバーを刻印された一枚の銀貨だけだったが、いずれ日中の和平を望まない列強の諜報機関の仕業と推測された。早速上海に乗り込んだ椎名は、和平交渉の仲介に立っていた親日派の張宇源(松村達雄さん)をマークするとともに、銀貨の出所を求めてナイトクラブの闇カジノに潜入し、スパイの疑いがかけられて横浜から逃亡していたドイツ人商社マンのスタイナーを目撃する。やがて事件の全貌が明るみに出、和平交渉のため日本から第2陣の特使が派遣された。ところが特使を乗せた飛行機が、故障で不時着し、特使たちが共産党軍に拉致されてしまう。特使を救出するため、椎名は共産党軍の占拠するライコーチンに向かうことに…。
陸軍中野学校シリーズ第3弾、これもモノクロ映画です。
前半の上海での調査、後半のライコーチンでの救出活動、今回は前作「陸軍中野学校 雲一号指令」以上にスリリングな展開です。事件の謎解きみたいな興味は前作の方が高かったですが、今回はその辺を半分に抑え、後半にアクションをふんだんに盛り込んだ感じです。
このシリーズは、けっこうハードな内容ですね。戦時下という時代背景もあり、諜報員も007シリーズみたいにチャラチャラしたところがまったくないし、仲間が死ぬこともあるし、諜報活動が成功しても、その後の政治的・軍事的な大局に影響をもたらすことすらできないという辺りも、なかなかリアルにせつなさを感じるところです。でも、だからイイのです。
●監督:田中徳三