なま夏
私的評価★★★★★★★★★★
(2005日本)
冴えないブサメンの益男(三島ゆたかさん)が恋したのは、いつも通勤途上の電車で見かけるカワイイ女子高生の杏子(蒼井そらさん)だった…。
ま、これ以上あらすじを語るのは無粋かな、と。
電車の中で始まる恋は、電車男だけじゃない…て、ゆーか、ピンク映画の世界じゃ痴漢の加害者と被害者が××とか、なんかシリーズであったよーな…あんまり見てないので確かな記憶にないのがもどかしい。本作とはまったく関係ない話だけど、温水洋一さんを初めて見たのは、確かそういった映画だったと思うんだが…。
あだしごとはさておき、まぁ、本当に、どうしようもないダメさ加減爆発の益男。杏子を盗撮した写真を部屋のふすまいっぱいに貼り付け、妹には「どこに出しても恥ずかしくないぐらい、ストーカーです!」と決め付けられ、やっと告白の手紙を渡したかと思えば、手紙に添えたぬいぐるみに盗聴マイクを仕込んでみたり、彼女の高校の女子の制服を身に着けたり…あぁ、なんたるヘンタイ!…キツいわぁ…。
もっと甘口の映画かなぁと思って借りたんだけど、全然そんなことなかったですわ。自分がどっちかというと、益男のサイドにカテされるタイプの人間だから、まぁ、正直言って、見ていてイタくてイタくて…「DVD NAVIGATOR」データベースの内容紹介に「冴えない中年男と女子高生の恋愛を綴ったちょっぴりエッチなラブコメディ」って書いてたけど、これをラブコメと割り切って笑えるヤツは、益男のサイドにいない人たちだと思うんだよね。その、「ちょっぴりエッチ」なところが、余計に生々しくイタさを増幅させていて、そのハンパないストーリーのリアルさに、けっこう打ちのめされてしまった自分があります。
ま、とりあえず。ヒロインの蒼井そらさんが、どうしようもなく美しく撮られていて、グッときます。それから、生理的には好かんのですが、刺傷事故のシーンの演出が、妙にリアルでありながら、詩的に美しく感じてしまいました。床に滴った失禁と血なんですがね…。
ついでに主演の三島ゆたかさんは、「帰ってきた時効警察」の第1話に、「薬局に行ってきた五所川原です」というチョイ役で出演なさっています。こちらはフツーのテレビ局員ぽい役でしたが、本作では見事に心の捩れたブサメンを演じていらっしゃいます。つくづく人の外見には、その人の心のあり様が映し出されるモンなんだな、と感じました。
評価は…正直なところ、ALL or Nothingかな、と思って、何となくゼロにすると自分が負けのような気がしたので、満点にしてやります。なんか、ちょっと動揺してるかも…(苦笑)。
●監督・脚本:吉田恵輔