一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

雨のやむとき

私的評価★★★★★★★★☆☆

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ぴあフィルムフェスティバル作品データベースから引用

 (2019日本)

雨が降る日も家に居られない子どもたちは、どこへー?

 それぞれに家庭の問題を抱える中学生の里佳子(狩野ゆまさん)と航汰(滝田 匠さん)。家庭にも町にも居場所がないふたりは友達になり、河川敷という居場所を見つけるが…大人の世界に振り回される孤独な子どもたちの感情に丁寧に寄り添った作品。
ぴあフィルムフェスティバル作品データベースから引用)

pff.jp


 第41回ぴあフィルムフェスティバル・自主映画コンペティション部門「PFFアワード2019」準グランプリ受賞作だそうです。



 28分間に凝縮された、居場所のないふたりの中学生の孤独感に胸が痛む。



 『トマトもさ。育てるだけ育てて放置じゃ、腐っちゃうじゃん。』

 再婚した父に付いていった里佳子は、継母にも継母の連れ子にも馴染めず、実の父からも見放されてしまい、家に居づらい。



 里佳子に「過保護なんだね」って言われる航汰だって似たようなモン。

 『じゃあ、ママは? ボクとアッくん、今、どっちの方が大事?』

 航汰はきっとママが大事。だけど恋人との同居を急ぐママに、同じくらい自分が大事にされていないような気がして、不安を覚えてる。

 でも、淋しがり屋のママは、くすんくすん泣いちゃうだけ。







 『私は帰らない!』

 雨がやんで、暗い夜道を歩き出す二人。



 早く大きくなりたいよなぁ。
 早く大きくなって、自分で稼いで、何でも自分で決めて、自分が自分らしくいられる場所を作りたいよなぁ。


 そんな声が聞こえてきそうな、二人の後姿。

 雨のやむとき、深い闇に飲み込まれてゆく二人の行く末が気になる。

 なんとも、せつない。


●監督・脚本・編集:山口優