一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

仮面ライダーアギト PROJECT G4 ディレクターズ・カット版

私的評価★★★★★☆☆☆☆☆

仮面ライダーアギト PROJECT G4 ディレクターズ・カット版 [DVD]

 (2001日本)

 東映映画50周年記念作品だとか。なぜか、劇場でも見ています。夏休みの子ども向け映画で、同時上映は「劇場版 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える」でした。ガオレンジャーの方は、まちがいなく子ども向けの内容でした。しかし、クウガ以降最近の仮面ライダーは、子どもには「怖い」作品なんではないでしょうか?

 劇場版が併映との関係で70分しか上映できなかったため、初めてアギトを見る人にも「最低限の人物関係を分からせる」という程度の構成しかできなかったところを、本作では、カットした18分をつなげることで、よりストーリーを分かりやすく構成し直しています。

 たとえば、友情出演の中村俊介さんは、劇場版では「あれ、俊介?」ていうくらいにしか映ってなかったのに、本作ではしっかり登場シーンが復元されています。ハンバーガーショップでぶつかった仮面ライダーアギトこと津上翔一(賀集利樹さん)に「あれ、金剛寺くん?いつ帰ってきてたの?久しぶり…」というくだりです。これ以外にも、焼肉屋で登場人物が一同に会して食事をするくだりなどは、小ネタを含めて復元されたので、よりストーリーがすんなり分かるようになってます。

 アンノウンという敵怪人と戦うために、警察官氷川誠(要潤さん)が装着することで仮面ライダーに変身するG3-Xシステム、それをサポートするG3ユニットに自衛隊から新たなメンバー深海理沙一尉(小沢真珠さん)が加わります。ところが、彼女の目的は、装着者を死に至らしめるおそれがあるため封印されてしまったG4システムを、G3ユニットの小沢管理官(藤田瞳子さん)から盗み出すことが目的なのでした。

 この映画、深海一尉が率いる、新兵器を開発する目的で組まれた自衛隊の中のある組織の陰謀が、アンノウンと人類の戦いの中で狂言回しを演じる点で、自衛隊が悪者として描かれています。その効果を高めるかのように、自衛隊の軍靴の音が、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、と響いて耳にこびりつくようなシーンがあって、劇場で見たときには、かなり衝撃を受けたことを覚えています。子ども向けの映画にしては、かなりハードな内容だな、と思いました。とにかく深海一尉のセリフは、ことごとく胸が悪くなります。徹底的に嫌われ役を演じています。ホントに子ども向けを考えているのか?と思います。

 死を背負ってG4システムを装着して戦う水城史朗(唐渡亮さん)と、生きることの意味を意識して戦う氷川誠の戦いも、かなり見ていて「痛い」と感じます。最後に氷川誠が「もういいだろう!」と絶叫するシーンは、実は要潤さんのアドリヴだったそうですが、胸に残るセリフでした。

 ところで、「金剛寺くん」て誰ですか?

●監督:田崎竜太 ●脚本:井上敏樹