一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ゴジラ FINAL WARS

私的評価★★★★★★★★☆☆

ゴジラファイナルウォーズ【60周年記念版】 [DVD]

 (2004日本)

 北海道沖で未知の怪獣のミイラが見つかり、調査のため国連から生物学者・音無美雪(菊川怜さん)が派遣されることになり、特殊能力を持つミュータントで組織された地球防衛軍“M機関”の尾崎(松岡昌宏さん)が、彼女の警護をすることになりました。ミイラは邪悪な宇宙怪獣ガイガンであることが、インファント島の小美人たちの知らせで分かりますが、ミュータントと同じM塩基を持つことから、小美人たちは尾崎に「あなたには邪悪な血が流れている。しかし、自分がどんな存在であるか、自分で決めることができるのだ」と忠告しました。そして、ガイガンのミイラが不吉な予兆であったかのように、日本人初の国連事務総長・醍醐(宝田明さん)を載せた専用機が、怪獣ラドンに寄って破壊され、ニューヨーク(ラドン)、上海(アンギラス)、沖縄(キングシーサー)、パリ(カマキラス)、シドニー(ジラ)、アリゾナ(クモンガ)、東海コンビナート(エビラ)、と、世界各地に次々と怪獣が出現したのです。怪獣の同時出現で地球防衛軍の機能が麻痺しかけたとき、一隻のUFOが飛来し、怪獣たちを次々に消し去りました。UFOは地球防衛軍本部の頭上に飛来し、醍醐事務総長を降ろすと、X星人と名乗る宇宙人が、「妖星ゴラスが地球に衝突しようとしている」と警告を発します。醍醐事務総長は、X星人の提案を全面的に受け入れ、“宇宙連合”の創設を謳いますが、以前彼の独占インタビューをした日東テレビの音無杏奈(水野真紀さん)だけは、彼の異変に気付いていました。そして、正体を現したX星人は世界各地に再び怪獣を放ち、地球人との熾烈な戦いが切って落とされるのです。X星人の先制攻撃で壊滅的な打撃を受けた地球防衛軍は、最後の望み、南極の氷の下に封印したゴジラを解き放つ作戦に打ってでるのでした。


 もう、50周年記念で満腹。今までのシナリオ、登場怪獣、登場俳優さんたち総動員で、ゴジラ最後の戦いを演出しています。X星人轟天号妖星ゴラスまで登場するし、宝田明さんは「昔は100発100中の男と呼ばれたんだ」と言うし、ミニラとこどもの交流はあるし、ミュータントとX星人の戦いはワイヤーアクションで“マトリックス”しているし、UFOに突撃する轟天号の戦いは“インディペンデンス・デイ”ぽいし、ドン・フライさんは格闘家のくせにカッコいい演技だし、格闘家といえば、船木誠勝さんもうまかったし、ホント、お腹壊しそうです。

 ストーリーは分かりやすいし、テンポもいいので125分とゴジラにしては長い作品ながら、退屈はしません。ま、歴代出演者のために用意した、なくても一向に差し支えない映像もふんだんにありましたけど…。

 最近のゴジラ映画は、画質が悪いな、と思ってたんですけど、本作は最悪なシーケンスが何ヶ所かあります。エビラとM機関の戦いは何ゆえあんなに夕焼けなのか、ケイン・コスギさんと松岡昌宏さんのバイク・アクションは、何ゆえあんなに青く、彩度もコントラストも潰れてしまっているのか、実写の背景と怪獣あるいはCGの背景と人間の合成があからさまに分かるのは何ゆえか、と、最近の特撮にしては痛いところがあるのです。確かに全体的には今までで一番、格段にお金はかかってそうですけど、CGIVFXの使い方はちょっと…。きっと、劇場で見てたら、もっと気になったと思います。“ゴジラ×メカゴジラ”のときは、そう思いましたから。

 あと、何気に、水野真紀さんの美脚が気になる演出があります。北村龍平監督の趣味ですかね? 北村監督といえば、上戸彩さん主演の“あずみ”を撮った方なんですってね。う〜ん、チラッとしか見たことないんだけど、時代劇らしからぬスピーディなアクション剣劇になってたような印象です。同じことが本作でも言えて、今までのゴジラらしからぬ、スピーディでスキのない、まるでプロレスのような(笑)バトル・アクションです。一番ハッとしたのは、ガイガンに火達磨にされたモスラが、炎に包まれながらガイガンに突進していくシーンです。ちょっとジーンときましたよ。バカですね…ははははは。

 特撮は、まあ凄いんだけど、ちょっとハリウッド的になってませんか? 見ていて、なんか「日本の特撮らしくないじゃん」て思っちゃいました。ま、特撮に変なこだわり持ってない方は、素直に「スッゲー」と感動してください。

 最後に音楽が、聴いた瞬間ぴんとくるキース・エマーソンさんです。日本映画で聴くのは角川の“幻魔大戦”以来ですかね。最初は映画と微妙に合っていない気がしましたが、エンド・クレジットの曲は、けっこう耳について残りますよ。ホント、ゴジラ映画としては異色な感じですね。

●監督:北村龍平 ●脚本:三村渉 ●特技:浅田英一