一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

セイント(The Saint)

私的評価★★★★★★★★★☆

セイント [DVD]

 (1997アメリカ)

 香港の孤児院で育ったジョン・ロッシは、虐待を受けた孤児院を捨てサイモン・テンプラー(ヴァル・キルマーさん)と名乗っていました。サイモンの正体は、変装を駆使し、12人の聖人の名前を使い分ける怪盗“セイント”でした。ときはソ連崩壊の直後。サイモンはある日依頼人からロシアの石油王イワン・ペトロビッチ・トレティアックの所有しているマイクロ・チップを盗むよう依頼を受け、彼の屋敷に潜入しますが、息子のイリヤに現場を押さえられ、格闘の末、なんとか脱出に成功しました。ところが、そのイワンから盗みの依頼を受けたのです。盗むのはエネルギー革命をもたらすと言われる低温核融合の公式。強いロシア帝国の復活をたくらむイワンは、石油を市場に出回らないようにコントロールしながら、低温核融合を手にすることにより、世界のエネルギーを押さえ込もうとしていたのです。公式を解いたのは、オックスフォード大学に勤めるエマ・ラッセル博士(エリザベス・シューさん)。サイモンは彼女に惹かれてしまい、イワンの野望を打ち砕くことに決めました。かくして、サイモンの戦いが始まったのです。


 クリミナル・ファンタジーとでもいいましょうか、怪盗がヒーローで、ヒロインと恋に落ちて、巨悪を倒すため立ち上がるという、分かりやすいお話です。
 ヴァル・キルマーさんの変装が、なかなか楽しい演出になっています。いろんな顔に化けます。いろんな人格を演じ分けます。特に初めてエマと出会ったときの、薄毛の学者の変装が面白いです。まったく別人になってましたから…^o^)

 サイモンに騙されたことを知ったエマが、モスクワまでサイモンを追いかけてきて、公式を取り返そうとします。ところが、彼女はサイモンとともにイワン親子に追われる身となってしまうのです。スリリングな逃亡劇を繰り広げるところが、ストーリーを盛り上げてゆきます。モスクワの地下を巡る逃避行の末、エマがイリヤを振り切って、まさしくタッチの差でアメリカ大使館に駆け込むシーンは、ドキドキもんでした。

 クライマックスはファンタジーらしく、「聖人には3つの奇跡が必要だ」というサイモンのセリフどおり、奇跡(的な出来事)が次々と実現していくくだりで、爽快な気分にさせられます。大好きな洋画のひとつです。

●監督:Phillip Noyce フィリップ・ノイス