ぼくんち
私的評価★★★★★★★☆☆☆
(2003日本)
水平島に暮らす貧乏兄弟一太(矢本悠馬さん)と二太(田中優貴さん)の家に、半年前『買い物に行く』と言ったきり出て行ってしまった母ちゃん(鳳蘭さん)が帰ってきました。母ちゃんは、二太が初めて会うかの子姉ちゃん(観月ありささん)と一緒でした。ところが、帰ったと思った母ちゃんは、そのままよそ行きの服を身にまとい、『あいさつ回りに言ってくる』と言ったきり、再び姿をくらまします。かの子と一太、二太の3人の生活が始まりますが、かの子の世話になりたくないとツッパる一太は、チンピラのコウイチ(真木蔵人さん)のシノギを手伝って、危ない目にあいながらも自立しようともがきます。まもなく、母ちゃんが、家を売り払ったことを知らされた3人は、かの子の借りたアパートに引越し、二太にとっての新しい『ぼくんち』の暮らしが始まるのですが…。
とことん、貧乏な水平島の暮らしぶりに、呆れます。よくまぁ、こんなロケ地が、と思うと、本当にそこに暮らしている人のことが心配になってしまいました。とにかく、貧乏な人しか出てきません。で、堂々と『ぼくたち貧乏なんです』と宣言すると、銭湯はタダで使わせてくれるし、1軒しかない切ないほどまずい中華料理屋では、言い訳程度の茶碗飯にありつけるという、なんとも切ないような可笑しいような、そんな世界のお話。
自分が子どものころは、確かに貧しかったし、裕福な家庭の友達なんかひとりもいなかったから、「そういえば、こんな家に暮らしてたころもあったかな」とか思ったりしますが、客観的に貧乏ぶりを目の当たりにすると、なんだか自分の幼年期の実体験が切なく思えてくるからイヤですねぇ。
ま、しかし、貧しくとも、人は生きることができる。生きる力を持っている。夢だとか希望だとか、腹の足しにもならないモノはこの際置いといても、その日その日を生きていくだけの知恵は持ち合わせている。う〜ん、でも、切ないなぁ。
何不自由ないエエ暮らしをしてきて、将来に微塵も不安を抱いたことがないような方が、この映画を見ると、どんな感想になるんでしょう? 何も考えずに笑えるだけなのかな? 確かに可笑しい。笑えるエピソード多いです。でも、笑ったあとに訪れる、なんとも言えないこの切なさは…物質的な繁栄だけでは寂しいけれど、人はナイ物を欲しがるようにDNAに刷り込まれているんだと思う。説明しづらいな。とてもボクのボキャブラリでは説明できないんだけど、とにかく、生きていくって、切ないな。みんなフツーに、シアワセになりたいだけなのに。
「そら、シアワセの敷居を低ぅせな」---シアワセの敷居の高さは、人それぞれ。
「フツーって、あったかいご飯の中にあると思う」---ボクもそう思います。それがシアワセ---敷居がだいぶ低いな>ワシ。