一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

海底軍艦

私的評価★★★★★★★☆☆☆

海底軍艦  [東宝DVD名作セレクション]

 (1963日本)

 深夜、港湾の埠頭で宣材の女性モデルを撮影中のカメラマン旗中進(高島忠夫さん)と西部善人(藤木悠さん)は、海から上がろうとする謎の人物に気づくも海中に逃げられ、その直後、暴走してきたタクシーがそのまま海に突っ込むのを目撃する。翌日タクシーが引き上げられ、潜水夫たちによる海中の捜索が行われるが、搭乗していた運転手、乗客の土木技師の姿はどこにも発見されなかった。折りしも優秀な土木技師が蒸発する事件が他にも発生しており、関連性が疑われた。旗中と西部はタクシー転落事件の捜索のおりに、現場近くに居合わせた光國海運の楠見専務(上原謙さん)の秘書・神宮司真琴(藤山陽子さん)をスカウトしようと、会社まで押しかける。ところがタクシーで出かけた楠見専務と神宮司真琴を追跡中に、旗中たちは、ムウ帝国工作員23号と名乗る怪しいタクシー運転手(平田昭彦さん)が二人を誘拐するのを阻止することになる。その後、ムウ帝国工作員23号から警察に送られた強迫フィルムから、1万2千年前に一夜にして太平洋に沈んだムウ帝国は、地下に潜って地上より遥かに高度な文明を維持し、かつて全世界を支配していた当時のように地上復活を目指していることが分かる。そして、その大いなる野望を果たすため、楠見専務の海軍時代の部下で真琴の父である神宮寺元海軍大佐(田崎潤さん)が、密かにどこかで進めている海底軍艦の建造を中止し、全世界をムウ帝国に返上するよう要求してきたのだった。しかし、肝心の神宮寺元大佐の居所は、楠見専務にも分からないという。まもなく、ムウ帝国の地上侵攻が始まって、世界の危機が訪れるが……。


 6年後、日米合作で製作された『緯度0大作戦 - 一応、邦画劇場』と似た世界観のSF映画です。
 ただ、ムウ帝国の進んだ文明の映像表現は、当時としては十分だったのかもしれませんが、アメリカの影響もあってか、『緯度0作戦』の海底都市の方が洗練されていたように感じました。
 とはいえ、ミニチュアと光学合成を駆使した特撮部分は、さすがの円谷英二監督の手腕によるものだけに、とても半世紀以上前の映像とは思えないクオリティで、すばらしいと思いました。
 特に、海底軍艦轟天号〟の造型がカッコいい。テストで発進するシーンなんか、内装の美術も含め、めっちゃゾクゾクします。
 ストーリー、シナリオもしっかり練られており、大人の鑑賞に堪えうる見応えを感じます。
 東宝特撮映画の、至宝のひとつでしょうね。


●監督:本多猪四郎 ●特撮監督:円谷英二 ●脚本:関沢新一 ●原作:押川春浪(小説『海島冐險奇譚 海底軍艦』)