一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

いかレスラー

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

いかレスラー
いかレスラー [DVD]

 (2004日本)

 超日本プロレスのIMGP王者選手権試合で田口浩二(AKIRAさん)は、念願のチャンピオン・ベルトを手にしようとしたその瞬間、乱入してきた巨大な“いか”の姿をした謎のレスラーに伸され、ベルトを奪われてしまいました。スポーツ新聞の取材で、いかレスラーの正体が、かつて超日のリングで活躍したトップ・レスラーの岩田貫一(西村修さん)ではないか、という噂が広まり、貫一の元恋人で田口の婚約者・美弥子(石田香奈さん)は、心を動かされます。貫一は不治の病にかかり、美弥子の元から忽然と姿を消し、パキスタンの山中で厳しい修行の末、病を克服するため、いかの姿になってしまったのです。リング復帰に熱く魂を燃やすいかレスラー貫一と、常に貫一にナンバー2の座に追いやられていた田口の強い決意に全国のプロレスファンの嘆願書も後押しし、ついに田口対いかレスラーの正式な試合が組まれることになりました…。


 で、いかレスラーは、たこレスラーやしゃこボクサーと闘うという、とんでもなく海鮮市場臭いリングが画面に登場するワケですが、なんか、いかとたこの闘いなんか見ても、いまいち迫力に欠けるんですよねぇ。リング狭すぎ、18本の手、ジャマ臭すぎ、もっとちゃんとしたアクション見せてくれよ、とツッコミ入れたくなりました。まだしゃこボクサーの、ちゃんと格闘できるスタイルの方が納得できました(どー見ても、ショッカーの怪人ですが…これも古いな…)。でも、コメディ的には、あんだけインパクトのある大きさにデフォルメしないと、笑いとれないですよねぇ。実際、いかの着ぐるみの日常生活(地元商店街での、倹しい買い物シーンとか)では、もう真剣そのものの演技に笑わずにはいられんかったですし。コメディって言ったけど、実際はスポ根コメディかな? 真剣にスポ根やるから、笑いをとるべきところでは、ついつい笑ってしまえるワケですよね。そーゆー意味では、スポ根の王道的要素は備えていると思います。

 ボクはプロレスを見なくなって久しい(ゴールデンで放送されなくなってから、ほとんど見ないってったら古い話よねぇ…)ので、出演者がよく分からないんですけど、西村修さんもAKIRAさんもプロレスラーなんですってね。実際スーツアクターも兼ねてるんですか? あれだけ首の上に重心のある着ぐるみじゃあ、ヘタにアクションできないですよね。常にクビ鍛えているプロ格闘家でないとキツいかもしれません。


 監修・実相寺昭雄、脚本・右田昌万、着ぐるみ特撮映画と聞いて、ちょっと期待してたんですけど、なんじゃこりゃ?な感じです。実相寺さんの監修って、どの辺だったんでしょう? 妙にリングの照明が暗いなぁとか思ったけど、まさかそんなところタッチしてないですよね。監修の域出てるモンね(苦笑)。あ、エッチシーンの色使いとかカメラにフィルタかまして狙った効果の辺りも、実相寺さんの好きそうな感じかも…(爆)。

 右田さんの脚本は、けっこうロマンチックだったり、グッとこみ上げてきたり、なかなか侮れないところがあると思ってたんですけど、これはこれでいいのか?右田くん?て感じです。クライマックス、クサ過ぎです。もしや監督の書いた部分なのですか? しゃこボクサーの正体は、薄々感づいていたし、さらにいかレスラーとの関係も微妙に示唆されていたので、やっぱりなとは思いましたが、まさか何もかんも一まとめにして大団円に担ぎ込むとは、荒技ですなぁ。もしかして、プロレスのショー的要素をこんなところにも取り入れてみました、なんて言うんじゃないでしょうね? ま、イイけどね。

 ところで、美弥子のお姉ちゃん(白石美帆さん)が電話で妹を励ますときに「おみや」と呼びかけたので、「ああ、金色夜叉なんかぁ…」とチラッと思ったワケですが、金色夜叉のストーリーをあんまり知らないモンで、どんぐらい似ているのかよく分かりませんでした。別にダイヤに目がくらんで田口に走ったワケでもないし、別にそんな名作の下敷きはいらんかったんではないかとも思うのですが…。

 評価はちょっと厳しいですが、まぁ、DVD買うほどのこともないかという感じで。いかレスラーのテーマが耳について離れないという噂がありますが、8:55からの放送で、ついついオープニングの5分を見逃したので、聞いてません。一応サイトで確認しましたが、確かに同じフレーズを繰り返すパターンは、耳につくかも…ハイファイ音声で聞かなくてよかった…(爆)

●監督:河崎実 ●監修:実相寺昭雄 ●脚本:右田昌万河崎実