一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ミニミニ大作戦(The Italian Job)

私的評価★★★★★★★☆☆☆

ミニミニ大作戦 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

 (1969イギリス/アメリカ)

 アルプスの山中を快走するランボルギーニミウラが、トンネルで待ち受けていたマフィアによってクラッシュさせられました。乗っていたベッカーマンは、自分の身に万が一のことがあったら、フィルムなどが入った箱一式を、まもなく出所するチャーリー・クローカー(マイケル・ケインさん)に渡すよう夫人に言ってありました。チャーリーはベッカーマンの遺品から、トリノイングランド対イタリアのサッカー親善試合が行われる日に、中国から400万ドルの金塊が運び込まれ、それを強奪する周到な計画が練られていたことを知ります。チャーリーは服役中の大泥棒ブリッジャー氏(ノエル・カワードさん)に計画を持ちかけ、彼の援助を受けてベッカーマンの計画を実行することにしました。果たしてその結果は…。


 チャーリーの相棒たちが、盗みの仕事はテキパキこなすのに、待機中の車内で妙にゆるゆるに小突きあったりする場面を見ると、黄金の七人を思い出します。60年代の大らかさとでも言うんですかねぇ。

 この映画、前半はけっこう笑わせてくれます。出所したチャーリーを迎えに来た女の車が、盗んだパキスタン大使館の公用車だったとか、メンバーに引き入れたコンピューターの権威ピーチ教授が、母親もあきれる大女好きだとか、大泥棒ブリッジャーが、刑務所内で所長のクビを左右するほど権力を持っていて、むちゃくちゃ優遇されているとか、そのブリッジャーがものすごい愛国心の塊で、マニアともいえるほどエリザベス女王を敬愛してやまないとか、まぁ、ずいぶん小ネタを仕込んでいます。その小ネタの数々も、本作のゆるゆる感増大に貢献していることは、まちがいありません。

 しかし、本作の邦題が“ミニミニ大作戦”とあるように、本作の目玉は後半のミニ3台による華麗な逃走劇なんですね。スピード感溢れるミニによるカー・アクションは、イタリア当局の許可を取らずに撮影したりしたそうで(現代では考えられないことですね。60年代はやはり大らかだったのか?)、引いたカメラから画面を縦横無尽に3台のミニが駆け抜け、ときには球面のような斜面の屋根を滑走したり、ときには下水道の中をローリングしながら走ったり、とにかくスリリングで決して飽きさせませんし、まったく古めかしさも感じさせません。素晴らしいカー・スタントです。

 物語のエンディングは、これまた黄金の七人のエンディングを彷彿させるゆるゆる感で、男性コーラスによるユーモラスな歌でゆるゆるなまま終わってしまいます。果たして金塊強奪は成功したといえるんかいな?そんな感じです。

●監督:Peter Collinson ピーター・コリンソン