一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

大冒険

私的評価★★★★★★★★☆☆

クレージーキャッツ結成10周年記念映画 大冒険 [DVD]

 (1965日本)

 “クレージイ.キャッツ*1結成10周年記念作品”だそうです。クレージー・キャッツの主演映画は、今のところこの1本だけがDVD化されています。東宝クレージーキャッツ作品は30本ほどあるらしいのですが、早く他の作品もDVD化されないものかと待っております。


 フラン、ドル、ルーブル、ポンド、リラ…世界各国を騒がせる精巧なニセ札が、日本の1万円札にも見つかりました。政府は極秘捜査の指令を出し、畑違いの警視庁捜査1課の花井部長刑事(ハナ肇さん)ら3人の刑事も捜査に狩り出されます。週刊トップの記者・植松唯人(植木等さん)は、アパートの隣の部屋に住む発明狂の谷井啓介(谷啓さん)の妹・悦子(団令子さん)に惚れていました。兄の谷井は植松にそそのかされて、数々の発明を試作しては失敗を繰り返していましたが、ついに“天然色万能複写機”を発明します。悦子につきまとう大会社の御曹子石崎(安田伸さん)から植松が手に入れた1万円札が万能複写機のテストに使用されますが、ニセ札であることが分かり、植松は週刊誌に「国際ニセ札偽造団、日本上陸か?」という記事を載せました。極秘捜査をしていた警察当局は慌てて公開捜査に切り替えますが、もっと慌てたのがニセ札偽造の国際陰謀団でした。国際陰謀団の一員で悦子の勤め先に出入りしていた森垣金融の久美子(越路吹雪さん)は、悦子を誘拐し、部下に植松の命を狙わせます。また、花井部長刑事らは、植松をニセ札偽造団の犯人と勘違いし、張り込みを開始します。かくして悦子をさらって逃げる久美子の一団と、それを追う植松・谷井のコンビ、そして植松の命を狙う久美子の部下たち、植松を逮捕せんと追いかける花井部長刑事らの追跡劇が、東京〜名古屋〜神戸へと展開され、ついには国際陰謀団の秘密基地へとたどり着くのです。


 間一髪で後ろから来た殺し屋の車を避ける、車のルーフにつかまり振り落とされそうになる、側道を走ってきた蒲団屋のトラックの荷台に飛び移る、殺し屋に追い詰められビルの屋上から落とされる、鉄橋の上を逃げ電車を避けようと落ちたら河原にいた馬の上でそのまま乗り逃げ、馬で蒸気機関車を追いかけ飛び乗り…円谷英二さんの特撮効果もありますが、とにかくスリル満点のアクション・シーンの連続で、植木等さんの体を張ったアクションには感心しました。ギャグを織り交ぜながらの追跡劇は、そのテンポの良さで画面に引き込まれます。

 神戸港から国際陰謀団の潜水艦に乗せられ、秘密基地に行って以降のラストの展開は、ちょっとシナリオ的にネタ切れ、息切れ状態みたいで、陳腐な仕上がりを感じさせますが、全体的には、今見ても十分楽しめる娯楽大作です。
 しかし、ヒトラーが出てくる展開は、ヤバイかも…。

●監督:古沢憲吾 ●特技監督円谷英二