一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

少女たちの羅針盤

私的評価★★★★★★★★★★

少女たちの羅針盤 Blu-ray (特典DVD付2枚組)

 (2010日本)

 売り出し中の新人女優の舞利亜が、ネットシネマの撮影のため、故郷の福山の廃ホテルにやってきた。待ち構えていた監督(前田健さん)は、舞利亜が地元では有名な伝説の女子高生劇団『羅針盤』の元メンバーではないかと指摘するが、同行したマネージャー(石井正則さん)は舞利亜の過去について知らされていなかった。監督は舞利亜に、土壇場で台本が書き換わったことを詫びつつ、撮影ごとに脚本を小出しに渡すと告げる。驚いた舞利亜が手にした脚本は、舞利亜自身が過去に犯した殺人事件の真相を示唆するものとなっていた。時間は4年前に戻る−−−銀星学院高校演劇部の楠田瑠美(成海璃子さん)は、顧問の渡見(戸田菜穂さん)に目の敵にされていると思い込み、親友の北畠梨里子(森田彩華さん)と来栖かなめ(草刈麻有さん)を道連れに、自分たちだけの劇団を立ち上げようと決意する。瑠美は深井高校演劇部の江嶋蘭(忽那汐里さん)を強引にスカウトし、4人の名前に東西南北が隠れていることから劇団名を『羅針盤』として、福山の商店街などでストリート演劇を開始する。芸能活動をする、かなめの姉の広瀬なつめ(黒川智花さん)の応援もあり、4人は地元の演劇フェスティバルに出場すると、満場のスタンディング・オベーションを受ける。この成功を足がかりに、かなめは映画のオーディションに合格するが、このあと起きたある事件によって、4人の運命は大きく変わってしまう…。
 

 原作は、水生大海さんの推理小説で、第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作品。
 その縁で、映画の舞台は福山市です。
 のっけから懐かしい鞆の浦の狭い路地が出てきて、あっと驚きましたが、鞆の浦のロケはこの一瞬だけだったようです。

 ミステリーだけど、4人それぞれの個性や抱えている悩みなどが丁寧に描かれ、4人の演劇にかける情熱が、爽やかにほとばしるようなステキな青春映画です。
 成海璃子さん、森田彩華さん、草刈麻有さん、忽那汐里さんの4人のやりとりが、とても素晴らしい。
 そして、演劇フェスティバルでの劇中劇『生死のサカイ』が、ダイジェストなんだけど、泣けそうなほどステキでした。あとで特典ディスクのフルバージョンを確認しようと思うけど、なぜ特典はDVDなの?

 しかし、成海璃子さんは毎度激情に駆られ、全力で怒り、全力で泣くという。まぁ、すごいですね。今回は、演劇フェスティバル後の悔し涙を流す顔が、全力過ぎて完全に持っていかれましたw

●監督:長崎俊一 ●原作:水生大海(小説『少女たちの羅針盤』/原書房刊)