一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

あしたの私のつくり方

私的評価★★★★★★★★★★

あしたの私のつくり方 [DVD]

 (2007日本)

臆病な私も、演じてる私も、全部私なの。
逃げたい私も、嘘をつく私も、傷つく私も、私なの。

 ひとりぼっちになりたくないから、みんなが求める〝私(自分)〟を演じる。思春期に初めて覚える、自分を偽ることで自分を守ること。悩み傷つきながらも、自分を見いだし輝いていく少女たち。

 学校や家ではよい娘を演じる女子高生・寿梨(ジュリ/成海璃子さん)。そして、小・中学校の同級生だった日南子(カナコ/前田敦子さん)は、優等生から転落したイジメられっ子。寿梨は、たったひとつの忘れられない思い出から、疎遠になっていた日南子に名前を明かさず携帯メールで、ある物語を送る。それは、〝みんなに愛される私〟になれる物語だった…。(DVDパッケージから引用)


 「つぐみ」の市川準さんの監督作品。
vgaia.hatenadiary.org
 他の作品をあまり鑑賞した記憶がないのですが、少女の瑞々しさを表現するのが上手い監督さんだと思います。

 美しい景色が彩る画面の中で、不思議なゆったりとしたリズムで紡がれる、二人の少女たちの携帯メールのやり取り。
 言いかけた言葉を飲み込む、全てを説明的に並べ立てない。絶妙にセリフの間がイイ。
 ボクは少女ではなかったワケだが、似たような感じ方で少年時代を過ごしていた。たぶん、ね。だから、なんか、全てが愛おしくなる。

 父役の石原良純さんの、声だけしか聞こえないけど、絶妙に心拍数を上げてくれる夫婦ゲンカがキレてる。ヤな思い出が脳裏をよぎる。
 兄役の柄本時生さんの、達観した少年の演技がさりげなくてイイ。
 小学6年生から高校1年生までを演じた主人公の成海璃子さんと前田敦子さん。撮影当時は、それぞれ14歳、15歳。前田さんの方が年上だったんですね。本来なら高校1年生で年相応の役だったはずなのに、幼げな顔立ちと華奢でひ弱に見える背格好のせいで、むしろ小学生時代の役の方がしっくりくる印象。本作が映画デビュー作だそう。決して演技が上手とは言えないけど、むしろ素のまんまな感じが好印象でした。
 主人公の成海璃子さん、不思議と好きな女優さん。子役時代に堤幸彦監督のTVシリーズTRICK〟で見たときから印象深い表情に惹かれ、今は独特の低い声質に魅了されちゃってる。この作品は、成海さんの独白でストーリーが進行し、その声に心が和む。また表情・セリフ回し・トータルで演技が実にイイ。また好きになってしまったw


 また、大好きな作品がひとつ増えた、そんな感じです。HAPPY^^


●監督:市川準 ●脚本:細谷まどか ●原作:真戸香(小説「あしたの私のつくり方」/講談社刊)