一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

東京オアシス

私的評価★★★★★★★★★★

東京オアシス [Blu-ray]

 (2011日本)

 見つめてみよう、きっと誰かがみえてくる。

 小林聡美さん演じる“女優”が、日々の暮らしを営む“東京”で出会う人たちとのふれあいを通して、今を生きる自身の姿や、住んでいる街のさまざまな景色を描く3話オムニバス形式のアンソロジー集。


 深夜、ワンボックスカーでレタスを運ぶ男、ナガノ(加瀬亮さん)×ヒッチハイクをする自称“女優”の女、トウコ(小林聡美さん)。強引に請われて仕方なくトウコを車に乗せ、ナガノが深夜の高速道路をひたすら走り、夜明けの浜辺にふたりで降り立ち、トウコを置いて立ち去ります。それだけw
 途中立ち寄ったパーキングエリアの食堂で、市川実日子さん演じる店員がチラッと出てくるという、なんとも贅沢な市川さんの使い方には悶絶してしまいました。そこで食べた『きつねうどん』は、例によってフードスタイリスト、飯島奈美さんの調理したものです。


 小さな映画館の最終上映が終わったあと、席で居眠りしていた“女優”のトウコ×映画館の従業員のキクチ(原田知世さん)。元脚本家のキクチと女優は旧知の仲で、ふたりで客の出払ったロビーのソファでぐだぐだと話をして、トウコが帰っていきます。それだけw
 そのあと、もぎりの青年、ヨシダ(森岡龍さん)が、手提げ袋いっぱいのミカンを手土産にお使いから帰ってくるのですが、最終上映の客だった老女(もたいまさこさん)の様子がおかしかったので、家まで送り届けるようキクチから仰せつかったものです。老女は、上映が終わった後、『隣の客が居なくなった』とキクチに告げたのだとか。別に一緒に連れ添って来たワケではなく、たまたま上映中隣同士になっただけの客だったのだが、その時間だけは、確かにお隣さんという“関係”があったという考え方に、キクチはぼんやりと『そういう考え方もあるのかなぁ』と呟くのでした。もたいさんの使い方も贅沢です^^;


 動物園の切符売り場のアルバイトの面接に来たヤスコ(黒木華さん)×暇つぶしに動物園を訪れていた“女優”トウコ。“ツチブタ”の札のかかった柵の前に佇むヤスコに、“女優”のトウコが『ツチブタはエサやりの時しか会えない』と告げ、なんとなく園内を見て回って時間つぶしをしたのに、結局“ツチブタ”が園内に居なかったというオチ。それだけw
 5浪の浪人生のヤスコは、今までアルバイトをしたことがなく、面接担当のモチヅキ(光石研さん)は、彼女の経歴に落胆の表情を浮かべ、面接を切り上げます。飼育員(大島依提亜さん)は、“ツチブタ”の札を取り外し、『姫路に婿入りしたのに外すの忘れてた』と謝ります。なんだかなぁ…^^;


 トウコと出会う、ナガノ、キクチ、ヤスコ。それぞれとの会話は、極めて内省的な、つまんない話です。正直、何の話でも良かったと思えるくらい、中身がありそうで、なさそうな、深そうで、どうにも薄っぺらく感じてしまう、ホントにどうでもイイ感じな話としか思えないのですよね〜。
 そういう映画ですね。

 『マザーウォーター』以上に、意味を考えても仕方ないドラマです。個人的には好きな映画ですが、今、人生を突っ走っているような方には、『無駄な映画』なんでしょうね。きっと。おまけの特典映像の『東京オアシス』新作ショートショート(全5話)も、かなりぐだぐだで、つまんないです。

 あ、どうでもな話ですが、『東京オアシス』と銘打って、“東京”を描いているはずなのに、クレジットには『Special Thanks to 千葉市動物公園どうぶつのみなさま』って、どーゆーことですかw


 でもねぇ。さんざコキ下ろしといてなんですが、疲れたときには、不思議と、ぼさーっと見てたい映画なんですよねぇ。実は・・・大好きなんです。


●監督:松本佳奈、中村佳代 ●脚本:白木朋子、松本佳奈、中村佳代