一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

高津川

私的評価★★★★★★★★☆☆

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映画『高津川』オフィシャルサイトより引用

 (2019日本)

 ダムが一つもない一級河川、日本一の清流「高津川」の流域に暮らす、牧場を経営している斎藤学甲本雅裕さん)。
 妻を亡くし、母絹江(奈良岡朋子さん)、娘の七海(大野いとさん)、息子の竜也(石川雷蔵さん)の4人暮らし。
 七海は大阪から帰って来たばかりで、高校生の弟・竜也の考えていることは分からない。
 地元の誇りである「神楽」の舞いは歌舞伎の源流ともいわれ、代々舞手が受け継がれて来たが、学は、今年舞手の舞台を踏む竜也が稽古をさぼってばかりいること、進路のことを危惧する日々だった。

 地方の問題の「都会への若者の流出による人口減」や「祭りや技術の伝承の存続」は危機的状況にあり、高津川流域で暮らす人々も同じ問題を抱えていた。
 そんな時、母校である小学校が閉校になるという知らせや、高津川上流にリゾート開発の話が持ち上がり、学の同級生で母親の介護をしながら老舗の和菓子屋を継いだ陽子(戸田菜穂さん)、寿司屋を継いだ健一(岡田浩暉さん)、高津川の清流で農業・養蜂をしている秀夫(緒形幹太さん)、東京で弁護士をしている誠(田口浩正さん)、市役所勤めの智子(春木みさよさん)、主婦の久美子(藤巻るもさん)らが集まって何をすべきか相談することに。

 母校の閉校を受け、最後の運動会に「日本各地にいる卒業生を集めよう」という話になる。

 高津川の恩恵や重要性は認識しつつも何が出来るか答えは出ないまま…
 唯一リゾート開発を否定しなかった誠は、学に連れられ誠の父、正(高橋長英さん)の元へ
 目を逸らしてきた現実と今失おうとしている大切なものを目の当たりにすることとなる。

 守るべきは何だったのか。
 失おうとしているものは何なのか。

 今それぞれの想いを乗せた最後の運動会が開催される。
 それぞれが見つけ出した答えとは…
(映画『高津川』オフィシャルサイト「STORY」より引用)

takatsugawa-movie.jp


 運動会って、イイもんだね。苦い思い出しかないけど_(:3 」∠)_
 全国に散らばった卒業生が集まって来るところ、やっぱり感激したわ。

 ある意味〝絶滅危惧種〟みたいな日本の原風景を守り続けている高津川
 その未来は決して明るいとも言えない、むしろ絶望と隣り合わせで、いつ消滅してしまうか、不安は尽きない。
 けれど、守ろうとしている人たちがいて、守りたいと思ってバトンを受け取る世代が、まだいる。
 そこに、わずかでも希望を見出し、子へ、孫へと繋げてきたから、彼らに未来を託してゆける。

 美しい高津川の川面に映る、この国の過去・現在・未来。守りたいと思えるモノがあることは、幸せだ。


●監督・原作・脚本:錦織良成