超高速!参勤交代
私的評価★★★★★★★★☆☆
(2014日本)
享保20年、磐城国・湯長谷藩の藩士たちが1年の参勤を終え、故郷に戻って来た。藩主の内藤(佐々木蔵之介さん)は久々のゆったりした時間を過ごしていたが、そんな折、江戸の老中(陣内孝則さん)からなんと再度の参勤の命が下される。しかも、通常で8日はかかる道のりをわずか5日以内で参れという無理難題だ。藩の金山に目を付けた老中が仕組んだ陰謀であるのは明らかだった。藩を守るため、家臣を連れた内藤の参勤行列は刻限までに間に合うよう野山をひた走る。
(WOWOWの番組内容から引用)
根っからのお人よしで、民百姓にも気さくに磐城なまりで話しかける湯長谷藩4代藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介さん)に従う精鋭は〝七人の侍〟たち。
悪の黒幕である老中・松平信祝(陣内孝則さん)の命を受け、参勤交代を邪魔する隠密のキメぜりふ『死して屍拾う者無し』といえばテレビ時代劇〝隠密同心〟心得の掟。
たぶん、いろいろ時代劇の名作へのオマージュがあるのかも知れませんが、詳しくないので他は見つけられません。
先の『死して屍拾う者無し』を始め、七人の侍たちに『我ら一騎当千』とか、飯盛女のお咲(深田恭子さん)に『殿様だ紀伊国屋文左衛門だって言っても、同じ人間なんだよ。糞もすれば女も抱く。』とか、同じセリフを、場を改めて二回しゃべらせるのは、大事なことだから二回言わせたということなのでしょうか? 脚本の意図はよく分からないけれど、ちょっとセリフの繰り返しに、居心地の悪さを覚えました。
しかし、全般的に脚本は良くできていると思いました。
窮地に陥ったときに出す、湯長谷藩家老の相馬(西村雅彦さん)のアイディアはユニークだし、政醇の日ごろの気前のよさが、後から恩返し的に窮地を救うことになるなど、創意工夫で乗り切る五日間の道中には、ちょいちょい見せ場が出てきてなかなか飽きさせません。
この映画、実は、殺陣が素晴らしい。コメディだと侮ってたら、口あんぐりですよ^^;
槍の使い手で膳番の今村(六角精児さん)が、隠密の夜襲で咄嗟に使ったのが極端に短い普段使いの包丁だったり、戸隠流の抜け忍・雲隠段蔵(伊原剛志さん)が二丁同時に投げたクナイの刃の摩擦で火花を散らして作った炎の幕で敵を阻んだり、いろいろカメラが切り取る場面で『おおっ!』とうならされるシーンがけっこうあるんですよ。
お人よしの殿様・政醇が、キリッと表情を引き締めて隠密相手に見せる居合い抜きの所作が、胸がすくほど切れ味するどく、思わず拍手喝采。
また、クライマックスの江戸城間近で繰り広げられる隠密・忍びの衆たちとの大太刀回りは、この映画の最大の見所。
政醇・段蔵・お咲の三人がピンチに陥ったときに聞こえ始めた『下ぁにぃ~下に!』の掛け声とともに現れた七人の侍たちには、もう、身震いがするほど胸がアツくなりました。
侍たち、段蔵、それぞれに見せ場がありましたが、最後に秋山(上地雄輔さん)が、太い杭で組んだ障害物を突破しようと、単身忍びの衆の中に飛び込んだ場面は、さらにグッと胸アツになりました。
ひとつだけ難を言えば、ワイヤーアクションなのか、跳躍する忍びの衆などの空中の動きが、いかにもバタつきそうな手足を『グッとこらえて飛んでます』みたいに見えたのが、少し残念でした。
しかし、そこを割り引いても、スカッとする太刀回りの連続、良かったです。
個人的には馬廻・増田役の柄本時生さんを、もうちょっと前に出してほしかったかなぁ。
※本木監督作品。手堅くファミリーで見ても笑える作風という印象。
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●監督:本木克英 ●脚本:土橋章宏