ドラッグストア・ガール

私的評価★★★★★★★☆☆☆

　（2003日本）

　えっ？　田中麗奈さん、コメディ初だったの？

　薬学部の大学3年生の大林恵子（田中麗奈さん）は、ある日帰宅すると、同棲相手の浮気現場に出くわしてしまい、ショックのあまり、飛び乗った電車でオイオイ泣き崩れ、気が付くと、右も左も分からない郊外の寂れた商店街にたどり着いていました。その街・摩狭尾（まさお）では新しくオープンするドラッグストアが開店準備に追われており、ひょんなことから、恵子はそこでアルバイトをすることになります。一方、生活雑貨から手作りパンまで何でも売っているドラッグストアの出店にピリピリしていた商店街の中年オヤジ軍団（薬局の鍋島：柄本明さん、酒屋兼雑貨屋の山田：伊武雅刀さん、パン屋の沼田：三宅裕司さん、寺のひとり息子済念：六平直政さん、ホームレスのジェロニモ：徳井優さん）は、酒を飲みながら、翌朝のドラッグストアの開店時に騒動を起こして営業妨害をしようと画策していました。ところが翌朝、パン屋の沼田が店で恵子と出くわしたことから、事態は急変、中年オヤジ軍団は次々と恵子の虜となり、足繁く店に通い、彼女が大学でラクロスをしていることを知ると、彼女と仲良くなりたい一心で、魚網と野球ボールでラクロスの真似事を始めるようにまでなったのです。そして、そのことが恵子の知るところとなり、彼女は本格的に中年オヤジ軍団のコーチを買って出ることになりました。

　宮藤官九郎さんの書き下ろし脚本のスポーツ・コメディです。田中麗奈さんが初のコメディ出演と聞いて、思わず首を傾げましたが、特に違和感はなかったです。もうずーっと、このジャンルでも活躍していたような気がしてました。

　ま、本作は、彼女を取り巻く中年オジサン軍団が脇役であり、主役でしょう。還暦近い人も含めて50代のオッサン連中が、娘ほども歳の離れた恵子とお付き合いするという、ほんのわずかな可能性に気が狂わんばかりに心を乱して、ラクロスに夢中になっていくさまは、おかしくもあり、哀れでもあり、なんともいえない感慨深いモノがあります。試合でのアクシデントにはビックリさせられましたし、それでもなおかつ、コメディとして成り立たせたクドカンの脚本は、舞台で培われたモノかなぁと感心しました。

　ところで、何気にゲームは“少林サッカー”風で、タマが熱気のオーラを発してたり、渦を引きながらゴールネットに突き刺さったりしてました。おもしろかったです。

●監督：本木克英　●脚本：宮藤官九郎