一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

池袋ウエストゲートパーク スープの回

私的評価★★★★★☆☆☆☆☆

池袋ウエストゲートパーク スープの回
池袋ウエストゲートパーク スープの回 (通常版) [DVD]

 (2003日本)

 石田衣良さんの原作とは別作品という感じがする、監督・堤幸彦さん、脚本・宮藤官九郎さんのテレビシリーズの特別番組です。

 原作は、かなりクールな和製ハード・ボイルド。しかも、アメリカ物の雰囲気だけ移植した、陳腐なイメージの「どこかの街」の出来事ではなく、実在する「池袋」とゆー街が舞台であるところが、妙に居心地よくってイイ感じな作品だと思います。

 テレビ番組の方は、長瀬智也くん扮する真島マコト、窪塚洋介くん扮するキング=安藤タカシが、原作の雰囲気を完全にブチ壊してます。この時点で、別作品として楽しむことを割り切った方が良いですね。そう思って見れば、堤監督らしいノイズと光に彩られた池袋の街の演出や、小技でこれでもかこれでもかと笑わせてくれるクドカンの脚本を十分に堪能できると思うのです。

 実際、ベタベタな小ネタの応酬に、30秒に1回くらいの割合で笑わせてもらったような気がします。

 何回DVDで見てもそれなりに楽しめるんですが、もうテレビで続編はしない方がいいような気がしますね。というのも、テレビシリーズから3年経過しての放送で、登場人物も3歳歳をとった設定なワケです。二十歳前後からの3年の月日で、かなり登場人物の考え方などに変化が現れており、テレビシリーズのころのようなスピード感溢れる、際どく危険な香りのする遊びができない年齢に、みんななってきていたのです。オジサンになっていく登場人物たちの話は見たくないし、今回の特番でそうゆー設定を取り入れたことで、次回作を意欲的に作るのは難しいのではないかな、そう思った次第。

 原作は、もう少し緩やかに時が流れています。石田衣良さんは、まだまだ書き続けるそうです。原作のファンとしては、たいへん喜ばしいことです。

 ところで、池袋西口公園池袋ウエストゲートパークにしたのは石田衣良さんですが、さらに頭文字とってI.W.G.P.にしたのは、誰なんでしょう?テレビシリーズの第1回でもInternational Wrestling Grand Prixの略か?みたいなセリフが出てきますが、これを見つけた人は凄い偶然に思わずガッツ・ポーズした…かな?

●監督:堤幸彦 ●脚本:宮藤官九郎 ●原作:石田衣良(小説「池袋ウエストゲートパークIII 骨音」)