一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

いま、会いにゆきます

私的評価★★★★★★★★★☆

いま、会いにゆきます スタンダード・エディション [DVD]

 (2004日本)

 恋愛映画なんて、基本的には見ないのです。ラブコメは好きなんですけど、恋愛を真正面に据えた映画は、見ていて気恥ずかしいのです。しかも、映画館で見るなんて、初めての経験でした。

 すっごいおおざっぱなあらすじは、病気で死んだ秋穂澪(竹内結子さん)が、梅雨の訪れとともに、6週間だけ夫・巧(中村獅童さん)と息子・佑司(武井証くん)の元に帰ってくる、そんなファンタジーめいたお話です。

 主演の竹内結子さんは、きれいな女優さんだとは思っていましたが、殆どドラマも映画も見ていなかったので、特別な印象は持っていなかったのです。いや、むしろ食わず嫌いだったかも知れません。今回は彼女の演技だけでも、かなり引きずり込まれてしまいました。ネタバレになるといけないので、詳しくは書きませんが、彼女が泣くシーンがあるのです。彼女の泣き方に、思わず知らず、完全にもらい泣きしてしまいました。身体が震えて、自分の部屋で見ていたら、間違いなくタオルに顔を伏せて号泣してたと思います。

 このお話、全編に泣ける小ネタが散りばめられていて、しかも、見る人のそのときの状況や精神状態、経験値によっても泣けるシーンがいろいろあるだろうな、と思える良作に仕上がっています。

 ボクは、殆どの泣けるシーンに反応してしまいました。歳とともに涙腺の緩さはどんどん悪化していくようです。夫役の中村獅童さんの「ありきたりの幸せを与えてやれなかった無念さ」とか、男として、けっこうズンときましたし、何より、子どもがイケないですね。子どもがいたいけな役を演じる映画は、ことごとく涙腺全開にさせられて辺りはばからずほっぺたに洪水引き起こしてます。そして、これは他の映画ではあまり描かれないお話ではなかったかと思うのですが、竹内さんが、残される子どものために、ひととおりの家事を伝授しようとするシーン、このシーンでも彼女の役の気持ち、愛情にのめりこんでしまい、かぁーっとこみ上げてきてしまいました。

 ストーリーとしては、ミステリーのように、いろいろと首を傾げたくなるようなシーンがいっぱい出てきます。なぜ誕生祝いのケーキは約束されていたのか、なぜ澪の絵本は書かれたのか、なぜ、澪は突然帰ってきたのか、なぜ、なぜ、なぜ…しかし、それらは最後に澪の愛情に涙が溢れて仕方なくなる、謎解き物語のための伏線なのです。黙って見進めましょう。そして、きっともう一度見たくなるはずです。あー、このシーンは、このお話の伏線だったのか、ということに気づき、また新たな涙を催さずにはいられなくなると思うのです。

 冒頭に恋愛映画は、あまり見ないと書きました。しかも、このお話のように、愛する者を失うストーリーなんて、気分が滅入るので、よけい見たくない方なのです。見たあとも、喪失感に心をかきむしられるからです。ところが、この映画は、お話の組み立て方が非常に素晴らしく、見終わった後には、澪の愛情がたっぷり、ジーンと心にしみて、「ああ、いい映画だった」と素直に思ってしまったのです。DVD出たら、予約して買っちゃうと思います。

 ぜひ、恋人と見に行ってください。ふたりの愛情が深まること請け合いの映画です。

●監督:土井裕泰 ●脚本:岡田惠和 ●原作:市川拓司(小説「いま、会いにゆきます」)

《原作です》

いま、会いにゆきます

いま、会いにゆきます