一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ソウル

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

ソウル [DVD]

 (2002日本/韓国)

 ジャケットがジャニーズの長瀬智也くんなので、画像はありません。

 「踊る大捜査線The Movie」が、韓国で不評だったとかで、スタッフが韓国映画「シュリ」の撮影スタッフと手を組んでオール韓国ロケで撮ったアクション映画、というふれ込みだったと記憶してます。

 「踊る大捜査線The Movie」が韓国で受け入れられなかったのは、文化的な違いである、みたいな分析を読んだこともありますが、その辺はよく知りません。とりあえず、リベンジしたいがために、韓国を舞台に主演の長瀬智也くん以外はみな韓国の俳優という、いったいどこの映画なんだ、という安易な設定の作品になってます。おまけに長瀬くんは、演技が一本気なので、何演っても「長瀬智也」としか見えないお寒い俳優です。高評価にはつながりません。

 長瀬くんは、もうひとりの主演のチェ・ミンスさんに「グー」で殴られるシーンが多くでてきます。その理由の中に、韓国の儒教に根ざした「礼儀」を知らない長瀬くんを叱る、というものがあります。目上の者の前ではタバコを喫わない、という礼儀です。ほかにも、目上の者と食事をするときには、目上の者が食べ始めるまで食事を始めない、みたいなシーンも出てきます。韓国映画で、わざわざこういうシーンを描いている作品は見たことありません。もちろん、今でもこういう礼儀を守っている人が多くいるのだとは思います。しかし、なんか、すごく無理やり韓国文化を映し出そうとしてて、日本のスタッフの考え方が安直に感じられます。韓国の文化になりふりかまわず迎合して、なにがなんでも韓国での評判を勝ち取りたい、という姿勢に見えますよね。勝負の仕方が間違ってると思うんですよ。ここまで韓国を前面に押し出して映画撮るのに、韓国の監督に勝てるという思い上がりでもあったのでしょうか? 日本的な映画で勝負して欲しかった、と思います。寂しいですね。

 長瀬くんに、日韓の関係を踏まえた上で、両国の関係について理想を語らせる、わざとらしい一幕もあります。なんか、ホント、そこまでして、何を語りたいんだ、という気がしてきます。そうなんです。アクション映画の体裁とりながら、「韓国のことを日本に紹介する映画」になってる気がするんですよね。それがすべて取って付けた印象なので、うざったいです。

 アクション映画と言っても、全編通してシュリほどの緊迫感もないし、これが目玉だ、というシーンもないように思います。最後に爆発シーンがあるんですが、音が入ってません。確か予告編でさんざん見せられたシーンだと思うんです。ロードショー当時は、テレビで見て、期待してました。期待外れです。いや、詐欺に近いかな?

 映画のラストで日本的なギャグをかますに至っては、言葉もありません。

 同じ脚本、同じ出演者でもいいので、韓国の監督が撮ったソウルをぜひ見てみたいです。無駄なエピソードが削られて、純粋にアクション映画として仕上がるでしょうね。基本的なストーリーは面白いと思うので…。

 さんざんこき下ろしてしまいましたが、それでも繰り返しこの映画を見てしまっている自分が、なかなか哀れです。

●監督:長澤雅彦 ●脚本:長谷川康夫

ソウル Hi-Bit Edition [DVD]

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