一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

HERO

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

HERO 特別限定版(3枚組) [DVD]

 (2007日本)

 東京地検・城西支部の検事、久利生公平(木村拓哉さん)は、ある傷害致死事件の裁判を任される。容疑者は既に犯行を認めており、裁判はスムーズに終わると思われていた。ところが、刑事事件無罪獲得日本一の弁護士・蒲生一臣(松本幸四郎さん)が担当に着くと、容疑者は初公判でいきなり、無実を主張し始めた。あらゆる手練手管を駆使し、久利生を追い込む蒲生。久利生は、事務官の雨宮(松たか子さん)とともに、新たな証拠を求めて韓国に向かう。


 ボクが木村拓哉さんを好きでない理由は、彼の演じるどんなキャラも「キムタク」でしかないからです。つまり、どんなドラマも、人気者キムタクをヨイショするためのドラマにしかなっていない、というところが面白くないのです。そして、彼の演じる役柄で一番好きになれないところは、おそらく女性は逆に好感を持っているであろう、彼のややぶっきらぼうな喋り方なんですよね。あの喋り方が、カンに障る(もはややっかみでしかないが…汗)。この映画も、まんまキムタクでしたねぇ…。いつまでもトップ・アイドルのまま歳を重ねざるをえない彼の宿命でもあるのでしょうが、そんな彼のドラマを安易に映画化して興行収入トップ、というのは、哀しい現実ですね。

 このドラマのヒーロー久利生公平という男と彼を取り巻く人間関係の設定は、踊る大捜査線のシリーズと似ているみたいですね。TVシリーズを見たことないので何ともいえないところもありますが、世の中をすべて白と黒に色分けして自分の中の正義を貫くために周囲を巻き込んでいくという辺りが、何となく。きっと、TVシリーズは面白いんだろうな…たぶん、見ないけど。

 本作のドラマのツッコミどころは、あまりに多すぎて、ちょっとなぁ…ま、とりあえず誰しも思うところは、なぜ韓国に行くの? なぜイ・ビョンホンさんが出演してるの? といった辺りでしょうか? それと、TVシリーズのファンのための映画なので、TVドラマとの続きが入り混じっていて、映画しか見ていない人には「?」な部分も多いかなぁ、という感じ。

 キャッチコピーが確か、「久利生公平、最大の危機。」だったと思うんだけど、全くその危機感も緊迫感も感じられない展開でしたねぇ。ヤメ検の蒲生弁護士が、久利生に好意を示すような態度をとってしまったことで、身内のケンカ的茶番になってしまった感は否めません。シナリオが悪い、とも言えそうです。

 ラスト・シーンもなんだかなぁ…このドラマのファンとしては、あのラストで良かったの?

 本編のドラマとは何の関係もない中井貴一さんのシーンだけが、唯一の救い、邦画の良心を感じたところでした。彼のためにだけ、★3つを…。

●監督:鈴木雅之