一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

白い船

私的評価★★★★☆☆☆☆☆☆

白い船DVD
白い船 [DVD]

 (2001日本)

 盛り上がらないお話だなぁ、と思っていたら、実話が下敷きになっているお話でした。ストーリーの組み方も実話に即しているのでしょうか? 盛り上がりそうで盛り上がらない展開が、もどかしい感じもします。でも、これはこれでいいんでしょうね。文部科学省選定だとか日本PTA全国協議会(そんな組織があったんだ!)推薦だとか、やたらと教育上好ましそうな推薦がいっぱい付いてます。そんな映画がハラハラドキドキの連続じゃあねぇ。

 舞台は島根県の漁村にある全校生徒17人の小さな小学校です。赴任間もない女教師の静香(中村麻美さん)は、教師という職業に対して悩みを抱いていました。このお話は、静香の教師としての再生の物語という側面もあります。静香のクラスの6年生の好平(濱田岳くん)は、授業中に窓の外ばかり眺めていました。ある日、好平は窓の外に広がる日本海の水平線の彼方に、白く光る物体を発見します。それは、白い船のようでした。やがて、それは九州と新潟を結ぶフェリーであることが分かります。そして、静香の発案で、好平たちはフェリーの船長に手紙を書きます。フェリーの船長は、手紙を受け取ると、子どもたちにプレゼントを添えて返事を書いてくれました。何度も手紙を交わすうちに、子どもたちはフェリーに乗ってみたいと願うようになり、校長先生を始め学校の教職員みんなが親たちに掛け合い、何とか子どもたちの夢を叶えてやろうとします。

 中村麻美さんが、友達の女教師(白石美帆さん)と松江のビヤガーデンで飲んでいて、尾美としのりさん扮する新聞記者に絡むシーンがあります。彼女が悩んでいることを窺わせる大事なシーンですが、ちょっと間抜けな感じが深刻さを和らげていて、ほんわかしてしまいます。

 校長先生役は田山涼成さんです。どうも、私の中では、この方は、悪役のイメージがあって、とってもイイ校長というのが違和感あります。ま、気にしてはいけないんでしょうね。また、フェリーの船長は、竜雷太さんです。この方も最近は憎まれ役のイメージが強いんですが、とってもイイ船長で、やはり違和感があります。この映画に出てくる大物俳優で、役柄に違和感のないのは、大滝秀治さんのじっちゃんくらいなもんでしょうね。とにかく、みんな恐ろしいほどにイイ人揃いで、人間関係の諍いがまったくないのが、却って気味悪い感じがします。さすが文部科学省選定映画。学校でも上映してるんでしょうかね?

 あと、何気に音楽は角松敏生さんです。こんな地味な作品で音楽担当してるとは、驚きです。

 なんか、とっても時間の流れがのんびりしている映画なんです。108分しかないのに、2時間以上たっぷり見たような気がします。いやあ、ある意味、見終わった後、くたびれます。でも、日本PTA全国協議会推薦ですから。ははははは…。

●監督:錦織良成