一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ぼくとママの黄色い自転車

私的評価★★★★★★★☆☆☆

ぼくとママの黄色い自転車 [DVD]

 (2008日本)

 父(阿部サダヲさん)と2人暮らしの小学生の大志(武井証さん)は、物心ついたころから母の琴美(鈴木京香さん)が「パリに留学している」と聞かされていた。ある日、父の書斎の戸棚から落ちてきた写真から、パリにいるはずの母が、なぜか瀬戸内海の小豆島にいるのではないかという疑いを抱いた大志は、父には内緒で、母との思い出の黄色い自転車に乗り、愛犬のアンと共に小豆島へと旅立った。旅の道すがら、母の手紙に書いてあった「黄色キラキラ草(と思われる黄色い草花)」を集めながら・・・。


 原作は、「涙でページがめくれませんでした」という読者が続出した、新堂冬樹さんの小説「僕の行く道」。
 横浜から500km離れた小豆島まで、自転車とヒッチハイクで旅する小学生。
 なんだかなぁ、という設定ですが、道中は美しい日本の景色と美しい日本人の人情があふれていて、なんともいえない優しい気持ちになります。
 ただ・・・。
 母と出会ったときの大志の心の揺らぎは、子どもながらに仕方ないとしても、母の見せた奇跡的な行為は、ご都合主義的でなんだか白けてしまったので微妙な評価なのです。

 小豆島の土庄港行きフェリー乗り場は、たぶん宇野港でしょうね。
 地元のおじいさん(柄本明さん)の方言が、岡山弁だったしね。

 個人的な思い出としては、両親と見た最後のDVDだった・・・ような気がして仕方ないんですよねぇ。
 たぶん、6〜7年位前、母が病気で倒れる少し前なんじゃないかなぁ。
 そのときは、なんだか微妙に重い作品だなぁ、としか思わなかったんだけど、今見ると、家族の絆とか、人の優しさだとか、けっこういろいろ思うところありますね。
 映画でも小説でもなんでも。作品に触れるときの、自分自身の心の有り様で、その作品に対する感じ方はいくらでも変わってしまうものだということを、改めて思いました。

 そして、柄本明さんの役どころが、思いっきり生前の父の姿とダブってしまい、泣けてしかたなかったのであります。

●監督:河野圭太 ●脚本:今井雅子 ●原作:新堂冬樹(「僕の行く道」双葉文庫/双葉社刊)